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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百六十六話 拉致被害者解放への道
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ラッシュが集れ光に浮かぶ我が身を考えると、皆が私を見るのであるから。演劇の主役の気持ちがわかる気がするな、さて後一仕事しなければな”と。

「解放する農奴は200万人、交換する捕虜は100万人の合計300万人」
300万人解放と、農奴の解放に多くの記者が唸りながら手を動かしている。

「質問宜しいでしょうか?」
一人の30代前半で美人の女性記者が声を上げた。今までのパターンであれば後にしてくださいと言われかねないが、なぜか質問が許された。

「何でしょうか?名前と所属をお願います」
マスコミ担当の事務所員がにこやかに聞き返す。端から見れば彼女の美貌に目を奪われたので、質問を受け付けたかの様に見えた。
「週間シトーエータ(これは何ですか)のマルガレータ・ヘルトロイダ・マックレオドと申します」

「それでは、ミス・マックレオドどの様な質問でしょうか?」
「今回の捕虜交換ですが帝国側が拉致被害者を含めて300万人を帰国させるそうですが、私の知っている限りでは、以前の捕虜交換で帝国側の捕虜は60万人前後しか居ないはずですが、その辺のバランスは考慮なさらないのでしょうか?」

記者の質問にレムシャイド伯は真剣な表情で話し始める。

「ミス・マックレオドの質問だが、今回の件は慣れぬ異邦で塗炭の苦しみを受けている臣民を帝国へ帰還させるを第一に考えた事であり、その対象は捕虜だけではなく、言われ無き迫害を受けつつある帝国臣民もその対象である」

「伯爵、言われ無き迫害とはいったいどの様な事なのですか?」
記者の質問にレムシャイド伯は心底心配してるような表情を作り答えた。

「前回のヴァンフリート星域会戦に於いて帝国軍が勝利したのはスパイ活動の成果だと向こう側は邪推したとの事だ。そしてスパイ組織の中心人物として、帝国からの亡命者たるローゼンリッター連隊に疑いをかけ、彼の連隊の関係者は元より、帝国からの亡命者を収監及び取り調べを行っていると、さる筋からの情報で判ったからである」

今まで同盟でも報道管制で知られず、ネット世界でも検閲で中々知られていなかった事が白日に晒された瞬間であった。

「伯爵、それは事実なのでしょうか?」
「悲しい事であるが、事実だ」
レムシャイド伯は悲しそうに演技する。

この会見は同盟側にも流されていたため、捕虜と拉致被害者の帰国を計るべきと世論が騒ぎだした。更に軍内スパイの事と亡命者の事は、事実なのかと騒ぎが起こっていた。

最悪な事に、何処から流れたのか、ローゼンリッター連隊の家族などの住所や家族構成などが流れ、ヴァンフリート星域会戦の遺族などと共に、関係の無い市民による、亡命者宅やローゼンリッター留守宅への投石や放火なども行われたのである。





宇宙暦794年帝国暦4
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