暁 〜小説投稿サイト〜
自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第六話
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
艦の主砲であるレールガンでは不向きで暇をもてあましていたのである。ミッタマイヤー艦隊後方に突如として現れた大規模な艦隊を見つけのだった。
「クナップシュタイン大将の艦隊か?いや規模からするとグリルパルツァー大将も一緒なのか」
 彼の疑問に答えたのは数万本のエネルギーの矢だった。そして距離は遠くとも収束され密度を大幅に増した中性子の束は装甲の薄い駆逐艦を打ち破るのには十分すぎた。

 ミッターマイヤー艦隊に衝撃が走った。三日月のような半包囲陣の真ん中に突如として砲火を浴びせられたのだ。一個艦隊の火力を敵の一点に叩き込む。その手法はヤンが好んで使う戦法である。アムリッツ会戦、救国軍事会議のクーデターでも使われその効果は折り紙つきだ。
「敵艦隊捕捉、数およそ1万5千!」
 ミッターマイヤ艦隊のオペレーターが悲鳴混じりに言葉を発した。その次の瞬間再び同盟艦隊からの一斉射が放たれ薄い陣形の穴がさらに大きくなった。
 奇襲を受けたミッターマイヤの判断は素早かった。
「艦隊を二つに分ける。私は左翼を指揮する。右翼はバイエルラインが指揮を執れ」
 前方と後方を押さえられた状況では横に逃げるしかない。数で勝る同盟軍相手にわざわざ自分達だけで戦う必要はない。ミッタマイヤーは既にルジアーナでの先頭を放棄し撤退を視野に行動を開始していた。しかしその行動は無意味に終わる。
「両翼に敵影、数およそ7500ずつ」
 ミッターマイヤー艦隊は既に包囲されていた。

 球形陣を執ったミッターマイヤー艦隊は数で勝る同盟軍に撃ち減らされていた。
 ミッターマイヤー艦隊の不幸は自分たちの能力の関係のない戦略的な要素で決着が付こうとしていることだろう。ルジアーナを攻撃した時点で既に負けが決定していたのである。
 補給基地が近くにあることをいい事に好きなだけ砲撃を加えミサイルを撃ちつくす旗下の艦隊をヤンはじっと見ていた。もはや指揮を採る必要は無く敵が一方的に消耗するのを待つのみである。
「第一戦目は成功か」
 2万隻の艦隊を倒したしかしそれだけである。帝国の戦力は未だに同盟の3倍以上はあるのだ。悪く言えばたかが2万隻なのだ。
「提督、帝国の後続部隊が進軍を速めたようです」
「距離は?」
「日数で言えば2日かと」
 ヤンの副官であるグリーンヒル少佐はスクリーンに航路図を映し出しながら答えた。航路図には同盟艦隊の位置と数、さらに帝国艦隊の予測される位置と数が写っている。
「速度を速めたのはクナップシュタイン大将とグリルパルツァー大将旗下の艦隊だけか…」
 ヤンの頭には次の作戦案が浮かんでいた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ