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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十四話 フェザーン謀略戦(その6)
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リッテンハイム侯です。凄い! 本当に帝国の重要人物が映ってる! コーネフ船長が口笛を吹きました。行儀悪いです。幸い私達の姿は二人からは見えません。二人に見えているのはレムシャイド伯だけです。

『レムシャイド伯か、一体何事だ、広域通信を行うなど何を考えている』
ブラウンシュバイク公の声は低く太い声でした。いかにも人に命令する事に慣れた声です。
「御不審はごもっとも。されど今しばらくお待ちいただきたい」

『待てというか、我らとて暇ではないぞ』
今度は髭のリッテンハイム侯です。ブラウンシュバイク公ほど渋い声ではありませんが十分に良く通る声でした。
「重々承知。今しばらく、このままにて」
『……』

レムシャイド伯の返答に二人が顔を見合わせています。うーん、何て言うか、帝国貴族の遣り取りってなんか格好良いです。渋くて重みが有る。あ、ハイネセンから連絡が来ました。

「ハイネセン、繋がりました」
ヴァレンシュタイン提督の前に有るコンソールにトリューニヒト国防委員長とシトレ元帥が映りました。
『ヴァレンシュタイン提督、一体どうなっている、フェザーンから抗議が来たぞ。ルビンスキーを、レムシャイド伯を拉致したとな』
拙いです、国防委員長は怒っています。シトレ元帥も厳しい表情です。

『ヴァレンシュタイン? ルビンスキーを攫った? レムシャイド伯、今の声は何だ?』
ブラウンシュバイク公が怪訝な声を上げました。今度はそれにトリューニヒト委員長が反応します。
『レムシャイド伯? 何だ今の声は? ヴァレンシュタイン提督、分かるように説明したまえ』

「ミハマ中佐、中央のスクリーンにまとめて映してください」
「はい」
中央のスクリーンに四人の顔が映りました。四人とも驚いたような表情をしています。
『どういう事だ、これは』
何人かの声が重なりました。それを見てヴァレンシュタイン提督が可笑しそうに笑い声を上げました。相変わらず性格が悪いです。

「先ずは自己紹介から始めましょう。私はエーリッヒ・ヴァレンシュタインです」
『ヴァレンシュタイン……』
呟く様な声が聞こえました。でも提督はそれを無視してレムシャイド伯爵に視線を向けます。レムシャイド伯が苦笑を浮かべました。
「ヨッフェン・フォン・レムシャイド伯爵、銀河帝国フェザーン駐在高等弁務官」

スクリーンの四人が互いに相手を窺うような表情をしました。そしてシトレ元帥が咳払いをして自己紹介を始めます。
「自由惑星同盟軍、宇宙艦隊司令長官シドニー・シトレ元帥」
「国防委員長、ヨブ・トリューニヒト」
「……オットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵」
「内務尚書、ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム侯爵」

自己紹介が終わると一瞬間が有りましたが低い声でブラウンシュ
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