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久遠の神話
第七十七話 百億の富その九
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「まさに」
「そうだね、確かガイアの子供達だったね」 
 大地の女神だ、ギリシアの神々の原始の存在である。
「ということは」
「その要望がウラノス神、クロノス神に嫌われてしまい幽閉されていました」
 これは五十の頭と百の腕を持つヘカトンケイルも同じだ、彼等は醜いとされてその時代の神々の主達に疎まれ幽閉されていたのだ。
 ゼウスはその彼等を解放し彼等の助けを得られた、その為に彼は父であるクロノスに勝ち神々の新たな王となれたのだ。
 ヘカトンケイル達は幽閉されることになったクロノス達ティターンの牢獄の番人となりサイクロプス達はヘパイストスの助手となった、それだけになのだ。
「このサイクロプスはあくまで模造ですが」
「それでも力はだね」
「忠実に再現されています」
 オリジナルのサイクロプスと同じだというのだ。
「それだけにです」
「強いね」
「はい、かなり」 
 その通りだというのだ。
「神なのですから」
「じゃあ私は神に勝つ存在になるのかな」
「これまでのどの剣士もです」
 戦いを降りた彼等もだというのだ、高代にしても広瀬にしても。
「神に等しい相手を倒しています」
「そういえば怪物の多くは」
 王はここでまた気付いた、聡美の話から。
「テューポーンとエキドナの血筋だったね」
「そうです」
「あの連中も神々だね」
「やはりガイア様の子ですので」
 やはりそうなるのだ、実はギリシア神話においては神々と巨人、怪物の差は曖昧なところがあるのだ。
 それでだ、聡美もこうも話すのだ。
「力は神の域にありました」
「そういうことだね、じゃあ」
「貴方もまたです」
 神の力を持つ存在を倒してだというのだ。
「その求めるものを得て下さい」
「求めるものは得られるにしても」
「そうです、その前にあるものは強大です」
 サイクロプスはその象徴でもあった、一つ目の巨人は。
「そしてそれだけのものを倒さなければ」
「得られないね」
「人も神も何かを得る為には乗り越える、勝たねばならないものがあります」
「それが私達にとっては怪物だね」
「そうなります、では宜しいですね」
「うん、さっきから言っている通りね」
 王はここでも軽い口調だ、その口調でだった。
 構えを取ったまま巨人を見上げた、まさに見上げる高さだ。
 その巨体を見つつだ、王は右に動いた。中国の拳法のそれを思わせる動きだ。
 サイクロプスもまた武器を持っている、その右手に巨大な棍棒を持っているのだ。
 その棍棒の逆に動いたのだ、それを見て。
 豊香は智子にだ、こう囁いた。
「棍棒を警戒されてですね」
「ええ、間違いなくね」
 智子もその豊香に答える。
「そうしているわね」
「そうですね、では戦術としては」
「正解よ、け
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