第七十七話 百億の富その八
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「まさに」
「そうなりますか」
「私はそう思いますが」
「ですね、その日本人は」
「悪魔です」
その心が、というのだ。
「まさに」
「悪魔ですか」
「それも最も邪悪な」
邪悪な存在である悪魔の中でもとりわけだというのだ。
「そうした存在ですね」
「日本人にもそうした人間がいるんですね」
「いるでしょう、善人も悪人もどの国にもいますから」
それ故にだというのだ。
「日本人にも邪悪な人間はいます」
「最悪の悪魔の様な」
「その日本人はまだ生きているでしょうか」
「さて、それは」
そこまではわからない、少尉は首を傾げさせて答えた。
「五十年前からですから」
「代替わりをしていることもですね」
「考えられます」
その後継者はいる可能性もあるというのだ。
「ですから」
「そうですね、五十年前から続いているとなると」
「それで差別を受けていた人ですが」
その彼がどうなったかというと。
「本当に引きこもっていまして」
「やはり普通にそうなりますね」
「ええ、酷い話ですね」
「全くですね」
こう二人で話した、そうしてだった。
二人は大統領選挙を見守っていた、それは明らかに共和党にとっては不利でありどうしても惨敗は避けられないものだった。
王はその夜に街に出た、夜の中華街は遅くまで賑やかだが流石に真夜中になりどの店も閉まると人もいなくなる。
その暗い街の中にだ、王は一人で立っていた。
その彼の前にだ、まずは聡美が来た。智子と豊香も一緒だ。
その聡美がだ、彼に真剣な面持ちで言って来た。
「それでは」
「今からだね」
「はじめたいと思いますが」
「何時でもいいよ」
王は聡美に軽く笑って応えた。
「今すぐにでもね」
「そうですか、それでは」
聡美も王の言葉に頷いた、そうして。
右手を自身の胸の高さまで掲げた、その右手の平を上に向けてだった。
軽く握った、するとそれを合図として。
彼女の前にあの怪物が姿を現した、サイクロプスだった。
そのサイクロプスが出て来てだ、まずは唸り声をあげた。地の底から響く様なかなり低く重い声であった。
その声を聞いてだ、王もだった。
自身の手に剣を出した。言うまでもなく金の力の剣である、その剣を構えそうして。
彼は構えてだ、怪物を見据えたのだった。
「じゃあはじめるか」
「はい、そしてですね」
「勝つよ」
絶対にだとだ、王は今も軽い口調だった。
「それで百億だね」
「この怪物に勝てば」
「軽い相手じゃないね」
大きさだけではない、王はサイクロプスを見てこう言った理由は。
「この怪物は」
「神の助手でした」
それ故だとだ、聡美も王に答える。
「ですから」
「そうだね、そもそもサイクロプ
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