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久遠の神話
第七十七話 百億の富その五
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「世界のリーダーの座は」
「そうです、権力にある様で」
「その上には常に剣があり」
「何時落ちるかわかりません」
「それだけ危ういものだからですね」
「常に世界中を見て考えて政治をしていなければ」
「世界のリーダーでいられなくなりますか」
 少尉はスペンサーの言葉を聞いて述べた。
「そういうものですか」
「ネオコンはそれがわかっていません」
 共和党を動かしている彼等は、というのだ。
「ですから」
「そういうものですか」
「私も共和党はここは惨敗すべきだと思います」
「共和党の為にもですね」
「若しネオコン的考えを払拭出来なければ」
「今回の選挙の後も」
「政権の座には就けないでしょう」
 選ぶアメリカ市民もわかっている、だから選挙には勝てないというのだ。
「アメリカも常に変わるものですから」
「ヒスパニックですね」
「アフリカ系の大統領も出ました」
 ディック=オバマだ。その登場自体がアメリカの変遷の象徴である。
「そして次はです」
「ヒスパニックの大統領ですか」
「やがて出ます」
 予測ではなかった、これも確信の言葉だった。
「アジア系の大統領もまた」
「出ますか」
「そうなるでしょう。アメリカは本当に変わってきています」
「変われば変わるものですね、かつてはアジア系を排斥していましたね」
 排日移民法等だ、中国系も排斥してきた。カルフォルニア州で特に酷くこの州はアメリカの人種差別のメッカと言っていい一面も存在しているのだ。
「それが今後はですか」
「むしろアジア系は社会的に成功している人が多いですね」
「そう言われていますね」
「知識人や経営者、政治家にも多く」
 日系及び中国系だけではなく他のアジア系もだ。
「社会的影響力や経済力も備えていっています」913
「本当に変わりましたね」
 今度はアジア系アメリカ人の立場が、という意味である。
「そこも」
「そうですね、排斥されていた立場から」
「カルフォルニアの話はご存知ですよね」
 少尉は今は暗い顔になった、そのうえで言うこととは。
「あの、第二次大戦中に」
「収容所ですか」
「はい、開拓時代は中国系を攻撃していて」
 それで虐殺事件も起こっている、これもまたアメリカの歴史だ。
「その時の陸軍の将軍なり知事なりが無茶苦茶言ってやってましたから」
「貴方の故郷で」
「酷い話ですよね」
 少尉は忌々しげに言う。
「私にしても嫌な話ですよ」
「アメリカの歴史の暗部ですね」
 少尉が苦い顔になっているのに対してスペンサーは暗い顔である、そこには理知があるがよくないものを見てその前で冷静になっている理知である。
「まさに」
「全くですよ」
「特に収容所ですね」
「あの時日系人を収容所に送った連中の
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