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久遠の神話
第七十七話 百億の富その一
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                      久遠の神話
                 第七十七話  百億の富
 スペンサーは今部下である少尉と共に領事館においてテレビを観ていた、そのテレビは日本の番組である。 
 それでだ、少尉ブロンドに青い目に白い肌を持つ彼は苦笑いをしてこうスペンサーに言った。
「私はまだまだですね」
「日本語はですか」
「はい、わからないです」
 こうスペンサーに言うのだった。
「ゆっくりとした口調ならわかりますが」
「今の口調なでは」
「どうにも」
 わからないというのだ。
「何を話しているのかわかりません」
「私も最初はそうでした」
 スペンサーは少尉にもいつもの礼儀正しい口調で話す、そこにはスラングやそういった響きの言葉は一切ない。
「日本語は私達にとっては非常に難しいものです」
「文法も違いますしね」
「文字もです」
「中国の様に漢字だけではないので」
 もっと言えば中国語と英語の文法は同じである。
「平仮名に片仮名と」
「複数ありますからね」
「珍しい言語ですよね」
 少尉、アメリカ空軍の濃い青の軍服を着ている彼は苦笑いを浮かべたままスペンサーに対していこうも言った。
「それも非常に」
「はい、独特です」
「こんな言語もあるんですね」
「私も日本に来て日本語を学んできて」
 それでだというのだ。
「何かと苦労しています」
「今もですか」
「はい、今もです」
 苦労しているというのだ、つまち現在進行形である。
「わからないことが多いです」
「日本人はよくこんな言葉を使っていますね」
 少尉は感嘆の言葉さえ述べた。
「私にとってはそれだけで凄いことですよ」
「せめて文字が一つだけならまだ学びやすいですが」
「そうではないですからね」
「日本語は余計にややこしいです」
「最初平仮名だけを覚えました」
 少尉は日本語を学ぶにあたってそうしていったというのだ、これは日本の所為学生の勉強の仕方と一緒である。
「それから片仮名で」
「漢字もですね」
「漢字は、私はチャイナタウンの近くで生まれ育ってきたので」
 その漢字を使う中国系の街である、アメリカにおいてはチャイナタウンは中国系アメリカ人の活動拠点にもなっているのだ、彼等がアメリカに移住してから。
「チャイナタウンにもよく出入りして中国系の人達とも話していたので」
「慣れていますね」
「実は中国語、広東語ですが」
 中国語といっても色々だ、標準語は北京語だがそれ以外にも方言として様々な地域の言葉があるのだ。
「わかります」
「書くこともですね」
「あちらの老人に教えてもらいました」
 書くこともだというのだ。
「その言葉は」
「そうですか、それはいいことですね」
「ですから
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