2:帰り道
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経験値量が莫大なのだ。
MMORPGをやり込んだ者なら、モンスターを狩るメリットを突き詰めれば、これに尽きるといっても過言ではないだろう。俺もこの事を聞いてから全て納得したほどだ。
このSAOだけに限らず殆どのRPGにおいて、強くなる為に必要なもの……それは、レアアイテムでもなく、お金でもなければ、ましてや運でもない。本当に必要なものとは、経験値という名の、敵を倒した場合にのみ与えられる数字に帰結する。何故なら、どんなレアなアイテムも、何でも買えるような大金も、それらを手中に収められるリアルラックも、RPGではその意味を突き詰めれば『効率良く敵を倒し、経験値を稼ぎレベルを上げる為の手段の一つ』でしかないからだ。どんなゲームでも、レベルと経験値という概念がある限りこの法則は不変であり、『経験値を稼いでレベルを上げる』という共通した作業でありながら、俺達全てのゲーマーを魅了して止まない、法則は法則でも黄金比の法則なのである。
……と、つい偉そうに語ってしまったが。
実の所、ユニコーンの正確な獲得経験値は分かっていない。
「果たして、一体どれだけの経験値が得られるんだろうな……」
帰り道から自分のねぐらに辿り着き、紙のロールをテーブルに広げて情報をおさらいしていく。
正確な数値が分からない原因には勿論、その個体数の少なさ故の抜きん出た希少性もあるが、最大の要因がまた魅力的だった。
――余りにその数値が膨大過ぎて、なんと狩猟した殆どの者のレベルがまるまる上がってしまうのだそうだ。
今では九体目が討伐されてから随分時間が経ち、当時狩猟に成功したプレイヤー達のレベルと、今回ユニコーンを狙う俺を含めた他のプレイヤー達のレベル平均の差はかなりあるだろうから、俺のレベルにもなると、流石にレベルアップはしないかも知れないが……十二分にそそられる話ではある。
当初では、単独で行動する事が多いソロプレイヤーが、狩りの効率の為に人気の無い森の奥地などへ入り込み偶然発見、討伐したケースが多かったらしい。だが数えて四体目の狩猟で初めて、とある一団が数人のパーティープレイ時に討伐に成功し、その全員が一気にレベルアップを迎えた事から、本格的にユニコーン専用の狩猟法が考案されたそうだ。
基本、ユニコーンの発見情報は狩猟を狙うプレイヤーの過度の集中や混乱、そして横取りを避ける為、最初に発見した者はその情報の公開を極力避ける。そしてユニコーンが逃げない内に集められるだけのフレンドやギルド員などのみで構成された数十人規模にもなる大型パーティーを組み、全員がユニコーンに気取られないように距離を保ちつつ集合した所で、一斉にユニコーンを取り囲んで襲撃。ワープで逃げる為の数秒の猶予も与えず、一瞬で仕留める算段だ。
トドメを刺したプレイヤー以外のパ
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