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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
腰抜け
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、私は五年前にそのまんま実行した。......それとも感想でも聞きたい?」

青ざめた顔に挑発的な笑みを浮かべて詩乃は言った。早々に険悪になってしまった雰囲気に身をすくめつつ、俺は彼女をじっと見つめた。あまりにも卑屈。当人以外にその苦しみは理解しようもないが、俺には自分をそこまで痛めつけなくてもいいような気がした。

「ちげぇよ。そんな下らないこと期待してるように見えんのか?」

「下らない......」

彼女にとってそれは衝撃だったのだろう、怒りと困惑の表情を行き来したあと、ふっと俯いて自嘲気味に言った。

「......ごめんなさい、折角助けてもらったのに最低ね私。こんなこと言うなんて......やっぱり、私かえーーー」

「俺さ、お前そんなに卑屈にならなくていいと思うよ」

このまま帰られたら元も子もないので、俺は率直な意見で彼女の気を引いた。浮かしかけた腰を下ろし、今日何度目になるか分からない困惑の表情を浮かべた詩乃は、まじまじと俺を見た。

「......卑屈?」

俺は真剣な表情で一つ頷く。

「確かにあの事件のせいで、お前のこと気味悪がる奴もいるよ。嫌になるよな、陰口ばっか叩く奴の姿が視界に入ると。ーーだけど、そんな気にしないって人間だって結構いるんだぜ? 俺みたいにさ」

図々しい、そんなことは百も承知で俺は言葉を続けた。この時点で彼女の表情は強張り、瞳が危険なほどの光を放っていたが、構まっていられないほど俺は本気だった。この際だから思ったことを全部言ってしまえ。

「だから、もっと気張れとか言うつもりはないけど、お前がその気になれば、ちゃんと話を聞いてくれる人間もいるって事だけ覚えていてくれ。......無理に縮こまって自分を殺す必要はねぇよ」

だめだ、これじゃ届かない。

自分の語彙力に対する失望と、手応えのない感触に溜め息をつく。結局俺は何をしたかったんだろう。強引に喫茶店に彼女を引き込み説教じみた話をするなんて、生徒指導の教師よりまだタチが悪い。そもそも彼女に意見する権利なんて俺にはないのだ。

憤慨されても文句の言えない間合いまで侵入してしまったことを感じつつ、ちらりと彼女の表情を盗み見る。次の瞬間、信じられないものを俺は発見した。

ーー朝田詩乃が笑っていた。

いや、どうなのだ? よく観察しないと分からないほどだが、その瞳に柔らかい光が差し込み、唇が安堵したように緩んだ気がした。

内心呆気にとられて動けない俺に、詩乃は少しだけ微笑んで言った。

「......ありがと。そんなこと思ってもみなかった。私、人と関わるの苦手だから......」

再びその表情に暗い影を見て、俺はあわててぶんぶんと手を振った。どういう化学変化が起こったのかは不明だが、
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