第27話 嵐の後は
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い。
このミンディア星域会戦には1番艦ロートリンゲンと2番艦カールスルーエが参加しており、共に数百隻の敵艦を屠るという戦果を上げている。
これは単艦での戦果としては極めて高く、この艦の有効性を示す良い結果であった。
「これほどの戦果です、量産が決定されるのは確定でしょう。ですが、標準戦艦以上の艦を沈められないというのが問題ではありますな。ここ一番という時の信頼性に関わります」
「うむ……だが、そこらへんには目を瞑るしかあるまい。何にも万能な艦など未だ存在しないのだから」
そう言いながら、――そんな艦が敵に有れば大惨事だな――とアドルフは思うのであった。
また、――降伏した国々の王女たちを喰う(性的に)のが楽しみだ――とも考えていた。
実に無駄な並列思考の使い方である。
* * *
ミンディア星域会戦における敗北と95000隻に及ぶ艦艇の損失は、ルフェール共和国内に激震を齎していた。
だがそんな中、その事実を冷静に受け止めて冷やかな目で見る人物たちも存在する。
ルフェールを陰から牛耳る財界の人物たちだ。
「覚悟はしていたものの、やはり負けたか……」
「『ウェスタディアの双星』などと持て囃されていても、結局本物の奇跡を起こすには至らなかったようだな。嘆かわしい」
「ですが、そう他人事を言っている場合ではありませんよ。連合軍の敗北により我等ルフェールは嘗て無い窮地に陥った訳ですから」
「統合参謀本部長ホーイング元帥、宇宙艦隊司令長官リッカー大将は責任を取り辞任。代わりに統合参謀本部次長ゲイム中将、第一艦隊司令官ニトラス中将がそれぞれ昇進して統合参謀本部長、宇宙艦隊司令長官に就いたようだが………」
「誰が就こうと立て直しは容易ではあるまいよ。それと、第四次新規艦隊建造計画の中止が決定された」
第四次新規艦隊建造計画では第十六〜十八の3個艦隊を新たに編成する計画であったが、ミンディア星域会戦での未曽有の被害がそれを不可能にした。
「まあ、それが妥当だろうな。既存の艦隊の再編が急務である現状、新規艦隊の増設など出来るわけがない」
「奴等が、銀河帝国が次に動くまでどのぐらいかかる?」
「さすがに今度ばかりは10年単位の期間は必要とするでしょうが……逆に言えばその時がルフェールの終焉でしょうな。近いうちにこの国から脱出する手はずを整えておくべきかと」
この言葉が紡がれた瞬間、この場にいる者は一人残らずルフェールを見限った。
もとより、彼らにとって重要なものは自分や家族の命と財産であり、ルフェールという国や民主主義の存続などではない。
「なるほど……それが得策か。不動産を捨てねばならんのが残念だが、致し方あるまい」
「しかし、逃げると言っても何処
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ