幻想曲
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我は完治しておらず、やはり全身に包帯が巻かれていた。
「ラクサスが滅竜魔導士だなんて聞いてなかったぞ」
「私もです」
ガジルの言葉にシュランは頷く。
彼女の方は多少の怪我を負っているが、ガジルと比べれば軽傷である。
「ぷふぅ、ぶわはははははっ!」
その言葉に男は大爆笑する。
そして振り返った。
「あれは『ニセモノ』。ニセモノちゃんよォ」
ガジルとシュランの問いに笑みを浮かべて答える男の名は『イワン』。
マカロフの息子であり、ラクサスの父親。
そして・・・闇ギルド、大鴉の尻尾のギルドマスターでもあった。
「ニセモノ?」
「どういう事です?」
ガジルとシュランは意味が解らず首を傾げる。
「アイツァ、小せェ頃から体が弱くてなァ。不憫に思えたオレはラクサスの体に魔水晶を埋め込んだ」
「滅竜魔法を使える魔水晶だと!?」
「そんな物があるんですか!?」
「めんずらしいだろォ?」
驚愕する2人にそう言い、イワンは目線を上にあげる。
「奴は破門されここに来るだろう。丁度いい」
「何がです?」
シュランが首を傾げる。
その胸には綺麗な青い宝石のブローチが付いていた。
「あの魔水晶は金になるって最近知ったんだヨ。それも信じられねえほどの金になァ」
その言葉にガジルが慌てたように口を開く。
「と・・・取り出す気なのか?そんな事したらラクサスは・・・」
「ぶははははっ!元々あのガキには過ぎた力よ。パパがスッキリ元の子に戻してあげちゃうよォ」
イワンは全く動じず、笑う。
「今は金だ。お金ちゃんよォ。妖精の尻尾と戦争するだけの金がいるんだョ」
そう言うと、イワンはガジルとシュランに詰め寄った。
その顔に先ほどまでの笑みはない。
「お前らはもう少し潜入を続けろォ。いいか?スパイだとバレてもこの場所だけは吐くんじゃねェぞ」
「そんなヘマはしねェよ」
「ご安心を」
ガジルはギヒッといつも通りに笑い、シュランは恭しく頭を下げた。
妖精の尻尾。
ファンタジアが終わり、ギルドでは宴が行われている。
思い思いに騒ぐメンバー達を、ガジルは1人、2階から見ていた。
「ガジル」
「!」
その場から去ろうとしたガジルにマカロフが声を掛ける。
「ファンタジアの打ち上げには参加せんのか?」
「ガラじゃないんでね」
「そうか・・・ん?シュランはどうした?お前の近くにいないとは珍しい」
「アイツならあのシスコン野郎に呼ばれてった」
シスコン野郎とは言うまでもなくクロスであ
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