第三章 始祖の祈祷書
第一話 蘇る者
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っしと抱き合った。
「よく、よく無事で戻ってきてくれて……。嬉しいわっルイズ。ルイズ・フランソワーズ…」
「姫さま……」
感極まったのか、ルイズの目から涙が溢れた。
「姫さま、件の手紙は無事、このとおりでございます」
ルイズはシャツの胸ポケットを広げ、アンリエッタに手紙を見せた。それを確認したアンリエッタは大きく頷くと、ルイズの手をかたく握り締めた。
「ルイズ……やはりあなたは、わたくしの一番のおともだちですわ」
「そんな……もったいないお言葉です。姫さま」
ルイズから体を離したアンリエッタは、風竜のそばにいる士郎たちを見ると、その中に恋しい人の姿がないことを確かめると、悲しげな表情をすると、顔を伏せてしまう。
「ウェールズさまは、やはり……」
「はい……すみませんでした」
アンリエッタの呟きに、神妙に答えたルイズを顔を上げて見たアンリエッタは、小さく首を振ると微笑む。
「そんな……ルイズが謝るようなことではありません……。そう言えば、ワルド子爵の姿が見えませんが。どうなされたのですか? まさかっ……敵の手に……」
アンリエッタの言葉に、今度はルイズの顔が悲しげに顔を曇らせる。
すると、ルイズの後ろから士郎が声を掛けてきた。
「姫殿下、ここでは人目が多すぎます」
「そう、ですね……わかりました、それではわたくしの部屋でお話しましょう。隊長殿」
「ハッ!」
士郎の言葉に頷いたアンリエッタは、周りで興味深そうに見ている魔法衛士隊を見回すと、隊長を呼びつけた。
「なんでございましょうか、姫さまっ!」
「ご苦労様です。この方たちはわたくしの客人です。皆ここはよろしいので、門の警備に戻りなさい」
「ハッ! 了解いたしましたっ!」
アンリエッタの命令に頷いた隊長は、魔法衛士隊の面々を促し、杖を収めさせると、それぞれの持ち場に戻っていく。
去って行く魔法衛士隊の面々を確認したルイズは、所在無さげな態度で立っているロングビルに顔を向けると、すまなそうに声をかけた。
「ミス・ロングビル。すみませんが」
「わかっています、ミス・ヴァリエール。私はここで待っていることにします」
ルイズの言葉を遮ったロングビルは、すまなそうな顔をしたルイズに手を振りながら言うと、ルイズたちはアンリエッタの促され、アンリエッタの自室に入っていく。
部屋の中に入ったアンリエッタは、小さいながらも、精巧なレリーフがかたどられた椅子に座ると、机に肘をつく。
椅子に座るアンリエッタに、ことの次第をルイズは説明し始めた。
ラ・ロシェールの町で傭兵に襲われたが、その際、魔法学院長の秘書のロングビルに助けられ、そのまま一緒に行動を共にしたが、
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