鏡面世界のクロムダスク 第一話
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どまで慌てていた少女が、顔を真っ赤にしてもだえる。その姿にまた朧は笑った。
まさか、まさか、まさか。
朝の『あれ』、見られてたのッ?
「あの、えと、えーっと、あにょでしゅね」
「落ち着け、何を言っているか分からない」
「あのですね、あれは別にそんなのじゃなくて、あの、あれはだから、えと、綺麗? だなって思ったから、その――――」
あせって、色々言っているが、それに笑いながらも、朧は付き合う。最後まで見届けて、少女が落ち着くのを待つ。
「あの、ごめんなさい」
「いや、気にするな。可愛かったぞ」
「かわっ!」
朧は気付く。
――この娘、初心だな。と、
「そろそろ帰ろうか」
「しょ、しょうですね」
「また噛んでるぞ」
仲良く笑いながら、道を歩こうとした、そこで気付いた。
「あの――」
「ん? どうかしたか?」
「私、あなたの名前知らないかも。ていうか知らないや」
「そういえば、言ってなかったか?」
「はい」
「そうか……」
口調が雑になったということは、少し落ち着いたのだろう。
花に囲まれた中で、二人は向かい合う。
「じゃあ、改めて」
「はい」
「私は御神朧だ」
「御神朧…………なんか可愛い名前だね」
「可愛い、とははじめて言われたな」
「そうかな? 可愛いと思うけど」
それに苦笑して、朧は少女に目をやる。
少女は大きく深呼吸をして、笑った。
「私の名前は、リリィ・イデア。これからよろしくね、朧」
少女の笑顔に釣られて、咲き誇る百合たちも、風に揺られて笑った。
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