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とある蛇の世界録
鏡面世界のクロムダスク 第一話
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を見て、前に身を乗り出そうとした少女を庇い、朧は前に躍り出た。
 そして、光が朧へと直撃する。

「ふん、人間ごときが、俺たちの邪魔などするからだ」
「さっさと回収するぞ、研究者は死体だけでも言いといっていた」

 煙のはれないなか、堕天使がそういう。が、そんな甘い話ではけしてないのだ。彼らは、その生の最後まで知ることは無かった、朧という存在の事を。今自分達たちが相手にしている存在が、世界最強だということを、見誤った時点で、彼らの負けは決定していたのだから。



「死体? 死体がどこにあるというんだ?」
「なっ!?」

 煙がはれると、現れたのは無傷の少女二人。ありえない、人間ごときが俺たちの攻撃を――

「ありえないことはない。私はこう見えても――」

 ――世界最強なんだから

 虐殺が始まった――――



 それから数分たって、堕天使が羽となって散った後、朧は後ろを振り向く。そこには目を見開き、朧を見つめる少女がいた。
 それに近づき、手を出すと、少女の体がびくっと硬直する。

「……怖かったか?」
「う、うん。少しだけ……」
「そうか……」

 そのまま、朧は少女の隣に座り込む。そして、目前のお花畑に目をやり、口を開いた。

「例えば――」
「え?」
「例えば、ある日の夜に出会った少年少女が、夜通し旅の話を語り合い。その後、二人で向かった先に現れた、カラスの化け物を、少年が倒す物語。そして二人は、永遠に幸せに暮らすんだ」
「それは――」
「君が魔法使いだということは、最初から知っていた」

 その朧の言葉に、強張りを見せたが、少女は観念したように笑った。

「そ……っか……」
「あぁ、正確に言えば、家に上がったあとに見た、あの魔道書が理由だが」
「うん。あれはおばあちゃんから貰ったものなんだ」

 あの本に篭っていた魔力の密度は、とんでもないものだった。うっかり天使が触りでもすれば、確実に堕転するだろう。そのくらいの闇の魔力。それを持っていた、少女の祖母は、相当の魔法使いだったのだろう。

「だから、私も君に一つ秘密を教えよう」
「ひみつ?」
「そう、それでお相子だ」

 首をかしげ、朧の言葉を待つ。

「私は――――男だ」
「……………………えっ?」
「君はおそらく、私の事を女だと思っていたんだろうが、私は生物学上も、論理上も、完全に男だ」
「えっ? でも、え、うそ」
「嘘じゃないさ。私は男だ、だから――」

 朧は、目に見えて慌てる少女に一瞥くれ、ニヤリと意地悪く笑って告げる。

「あんまり、近づきすぎると、襲ってしまうかもしれないからな、気をつけろよ」
 あんまり、近づきすぎると…………?――――――ッ!
 
 先ほ
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