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とある蛇の世界録
鏡面世界のクロムダスク 第一話
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っちの方が、仲良しみたいで良かったから。

「? どうかしたか?」
「――あぁッ! いや、なんでもないのッ。大丈夫」
「そうか、なら良い」

 ――朝ごはんの準備してくる。と少女は奥の部屋へと消えていった。その方向を朧はしばらく見つめてから、窓の外に目をやる。
 とても良い天気だった。それに夜は気にしてなかったからそんなに記憶になかったが、外には立派な畑があった。もしやとは思ってはいたが、やはりあの少女は自給自足で暮らしているらしかった。
 ――まぁ、そのことも後で話せば良いか
 朧はクスッと笑って、昨日の晩に話し合ったところと同じ席に向かった。



「こっちだよ」
「ちょっとまて、そう焦ることは無い」

 朧と少女は、二人で森の中を歩いていた。朝食を食べた後、少女が朧に『見せたいもの』があると言い、二人でその『見せたいもの』がある場所へと歩いていた。
 もう、かれこれ三十分ほど歩いている。

「その『見せたいもの』というのはまだなのか?」
「うん、もうちょっと歩くかな。――でも、すっごく綺麗だから、絶対びっくりするよ!」
「そうか、それは楽しみだ」

 それから、しばらくは歩き続けた。道中は、昨夜のように旅の話をしながら。やはり、少女はころころと顔を変えながら、朧の話を聞いていた。

「もう直ぐだよ」

 そう言い、坂道を駆け上がっていく少女。

「待て、あまり急ぐなよ」

 それを笑顔で追う朧。

 坂を駆け上った先。そこに広がっていたのは、一面の白。
 地平線の向こうまで咲き誇る白い花の畑だった。それはとても綺麗で、少女が急いで見せたがるのにも頷けるほどのものだった。

「ほら、こっちッ!」

 そのまま少女は、お花畑の小路地に入っていく。それを追い、朧も中へと入った。中はまた幻想的だった。白い花が、本来はそうならないであろうほどに高く咲いていたのだ。朧の背丈くらいには成長している。
 そんな中を、少女に導かれながら歩いていく。

 そしてしばらくして、お花畑の先に光が見えた。それに駆けていく少女に、朧も急げ急げと追い、光の中へと入った。


 ――そこには一本の大樹があった。


「これは……」
「おっきいでしょ? 私のお気に入りなの」

 それはとても大きく、天に腕が届きそうなほどにまで、枝を伸ばした木だった。

「あぁ、大きいな。そして、綺麗だ」
「うん」

 そのまま、二人は大樹の下にまで行き、そこに座り込んだ。

「ここで、お話の続きをしよう?」
「そうだな、じゃあ次は――」

 それからしばらく話をした。
 例えばドラゴンと勇者のお話だとか。例えばお姫様と吸血鬼のお話だとか。例えば、例えば、例えば――…………

 
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