鏡面世界のクロムダスク 第一話
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―」
「別に大丈夫だ。私は気にしてない。それに笑うのは良いことだ、とても気持ちがいいだろう?」
「はい、とっても気持ちいいです。それに心地良いですね」
「それは良かった」
「えぇ、ありがとうございます」
それから二人は、一つのランプだけを頼りに、顔を見つめあいながら話を続けた。少女が旅の話を聞かせてほしいと、そう言ってきたからだった。
「そうだな、他にも綺麗な女騎士と一緒に戦ったりした話もある」
「凄いです。いいですね、まるで夢のようです」
時に笑いながら、時に涙ぐみながら、時に真剣そうに、時に顔を真っ青にして。
色とりどりの表情で、朧の話を聞く少女に、また朧も笑いながら話を続けた。それから長い時間話し続けた二人だったが、いつのまにか少女のほうが船をこぎ始めた。
「眠いのか?」
「はい、ちょっと眠くなっちゃって。ごめんなさい、折角お話をしてもらってるのに」
「気にするな。君は笑っていたほうが綺麗だ。それに、また明日もあるだろう?」
その朧の言葉に目を見開き、そして綺麗な純白の花のように笑ってこう言った。
「はい、また明日……」
朝日に照らされ、目を覚ました少女は、寝ぼけ眼のままベットからゆっくりと降りた。そして、窓をの方を見ると、そこには一人の少女がいた。
――思い出した。確か、お客さんがいたんだった。
その少女は、揺り椅子の中で眠っていた。掛けられている毛布は、たぶん自分のものだろう。少女はおそるおそると近寄る。
そして近くまで来ると、その端正な顔を覗き込む。
――すっごい綺麗だな……
綺麗な黒髪に、真っ白な肌。ずっと昔に本で読んだことがある。たぶん彼女は東洋人だろうと思う。
そして、その少女の目は、朧の唇で止まる。それをじっと見つめ、ちょっとずつ顔を近づけ――ッ!自分は何をしているんだッ! 目の前にいるのは女の子なのにッ! いや、そんなことは関係ないッ!あって一日程度の人にき、き……しようとするなんて、普通の人はしないはずッ!
と、軽く自己嫌悪に陥っていると――
「何をしているんだ」
少女はびくぅッ、と身体を縮こませ、後ろを振り返る。
「お、おきてたの?」
「あぁ、さっき起きた」
「そっか」
どうやら、彼女の顔を察するところ、さきほどの一連の『あれ』は殆んど見ていないらしかった。それは良かったような残念なような、どちらにせよ胸を撫で下ろした。
「おもしろい奴だな。どうしたんだ、さっきから」
「ううん。なんでもないの――あっ」
今になって気づいた。敬語を使うのを忘れていたのだ。なおそうかと思ったけれど、目の前の少女はそれを気にしているようではなかったので、そのままにしておくことにした。そ
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