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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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て口に運ぶ。
豪快に一口で放り込んだ豚肉を、じっくりと咀嚼する。
その間、皆一夏の反応を待ち、寸の間の沈黙が訪れる。
充分に肉を味わい尽くし、一夏の口から喉、胃へと豚肉が落ちていった。
「うまい!」
飲み込んですぐに、満面の笑顔で言い放った。
声を聞いた鈴は、歓喜にうち震えたようで、転入以来見せたことのない、感動に満ちた微笑みを見せた。
「美味いよ、鈴。どことなく親父さんの味付けとかによく似てる!」
「と……、当然じゃない。お父さんの味を、あたしなりに再現したんだから」
絶賛の声を上げてくれる一夏だが、鈴はどうしても照れて素直になれなれず、微笑みを引っ込めてしかめっ面を装う。
「一夏、一口良いか?」
「うん、いいよ」
「あっ、ちょっと!?」
喜びに浸る鈴を尻目に、修夜が爪楊枝に刺さった唐揚げをひょいっと頬張った。
一夏の時とは違い、何かを探るように眉間を寄せて味を確かめていく。
随分と噛みしめたのち、唐揚げだったものを喉の奥に流し込んだ。
「……なるほど、確かに良い線いってる。けど親父さんに比べて肉が少し硬い、揚げ過ぎだな」
バッサリと降した修夜の評価に、鈴が思わず渋い顔をする。
料理人・真行寺修夜にとって、鈴の父親は一つの目標でもある。
その味についても随分と研究を尽くし、その技を盗もうと通い詰めた時期もあった。
ゆえにこの中で、最も客観的に鈴の店の味を熟知しているのが、実は修夜なのだ。
「何よ、練習のついでって言ってたでしょ。勝手につまみ食いして、そこまで言う!?」
「練習だろうが、他人に食わせる以上は味に責任は持つべきだ。言い訳は無しだぜ?」
「こんの……!」
言い返そうにも、料理での経験値では修夜に圧倒的な分がある。下手な反論はすべて打ち返されるだけである。
しかしここで、やはり“嫌味の神”は悪戯を働かせ、鈴に反撃の一手を閃かせた。
「……そう、なら、あんたの好みが『年上のお姉様』って事実にも、もちろんあんたなりの責任は持てるんでしょうね?」
「はぁ……!?」
思わずムッと来て反応したのが、修夜にとって運の尽きだった。
「えぇっ、ナニ、自覚症状とか無いの、うっそ〜!」
「てめぇっ、こんなゴシップ記事を真に受けてんじゃねぇ!!」
「えっ……、あんた本気で自覚ないの?」
念のためいっておくが、鈴も修夜の年上女性への態度の軟化は薄々感じていたらしい。
ところが当の修夜は、自覚どころかまるで認識できていない様子なのだ。
「……ごめん、ちょっとそれマジでないんだけど」
「うるせぇっ、俺のどこが年上好きだ!?」
「いやいや、修夜……。どこからどう見てもだよ」
「黙ってろ一夏っ、朴念仁のクセしやがって!」
「え……っと……」
「孫さん、何で顔赤くしながら後ずさりしてんですか……!?」
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