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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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うに遊んでおったな?」
「……誰ですか、あなたは?」
色を含めた笑みを浮かべる美女に、清は切れ長な目をより鋭くして問いただす。
「そうさね、あの宙を舞って楽しそうに遊んでおる子供たちの顔馴染みじゃよ」
妖艶な笑みが、一瞬だけ母親のような顔を覗かせた。
「それで……何の御用です?」
取り乱していたことなどなかったように、清は平静を装いながら美女に問いかける。
「何、ぬしの先の言葉の意味を、のぅ……?」
「……さて、何のことでしょう。私は彼女の、凰鈴音の中国本省での教官でしてね。少々みっともない戦いをしていたもので、つい熱くなってしまっていたんですよ」
妖しく微笑む銀髪の美女に、優男は涼しげに答える。
「おぉ、そうか、それはそれは。鈴が世話になったのう、えー……」
「清です、清周英と申します」
「わしは“白都(バイドウ)(リー)”」
「ほう、二字姓とは珍しい方で」
互いにあくまでにこやかに、さり気なく名を明かす。
「よく言われる。ところで、清周英どの――」
何気なく、ただ清は白都麗に視線を合わせた。
「何でしょう?」
そして返事をした。

『――我 ノ 眼 ヲ 見 ヨ』

一瞬、その金色の瞳が光ったかと思うと、清はそこからの記憶を失ってしまった。
事切れる寸前に、“ビャクヤ”という意図の知れない言葉を耳にしながら……。


そんな観客席の寸劇も知ることなく、二つの機体は押して引いての熱戦を繰り広げていた。
鈴が突っ込めば修夜がそれを的確に受け、修夜が攻めれば鈴も必死に食い下がる。
残りわずか五分という時間の中、惜しむことなく全力を出し合う二人に、徐々に客席の熱もヒートアップし、遮断シールドの内部は人もまばらながらに気温を上げていた。
「凰のヤツ、動きが変わったな」
「ええ、先ほどまでと違って、まるで水を得た魚のようですわ」
篠ノ之(しののの)(ほうき)とセシリア・オルコットは、互いに修夜と戦う今の鈴に対する率直な感想を述べ合う。
前半での殺伐とした差し合いとも、中盤の暴力の押収とも、先刻までの気の抜けた喜劇とも違う、無人機を相手に共闘したときの鈴が、二人の間の前にたしかに存在していた。
「いいな、あぁいうのは……」
箒はぽつりと呟いた。
それをセシリアが不思議そうに見つめていたことに気がつくと、箒は思わずはっとする。
「あ、いや、その、だな……。私はあぁしてぶつかり合えた友達が少なかったからだな、その、なんだ、あぁいうのが……う、羨ましい……というか……」
いつもはハキハキしゃべる箒だが、最後の方で顔を赤くしながら口ごもってしまった。
口は固い方だと自負していただけに、ここしばらく心情が口からこぼれやすくなっていることに、箒は戸惑いを覚えていた。
「わたくしも羨ましいと思い
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