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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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、分かっているさ、こっちもそろそろ気合入れていくぞ……!」
――やっと“らしくなって”きやがった。
弾幕を軸に接敵し、隙を見て切り込む一撃離脱の接近戦法。
鈴が無人機戦で多用した、彼女の十八番である。
しかも動きのキレは、以前とは断然に違っていた。
《すごい、無人機戦で見たときよりも、速度も機動力も上がってる……!》
「はっ、なんだ。やれば出来るじゃねぇか……!」
ならばと、今度は修夜が動く。
不可視の衝撃を雨を、砲口から予測して掻い潜り、鈴に向けて詰め寄っていく。
鈴もその動きに合わせて間合いを取るが、決して試合中盤のように逃げ腰にはならない。
(来るなら来い、叩き落としてやる!)
龍砲で牽制しつつ、その手に握る双天月牙を握り直し、接近の一瞬に備える。
そして龍砲がエネルギーの充填に入った、その寸の間――
「「!!」」

――びょう

白い獅子は風となり、赤い龍の懐目がけて飛び込んだ。

――ガツンッ

龍もまた、獅子の二本の牙を正面から受け止め、両者は鍔競り合う。
数秒の押し合いを経て離れたかと思うと、今度は龍が獅子の懐に踏み込んでいく。
飛び込んで右を一閃、獅子がその牙で受け止める。
すると体を捻り、さらに左を一閃。白い影が一瞬の判断で後退し、これを躱す。
躱して間合いと取ると、また獅子が。それを受けて躱せばまた龍が……。
一合、二合、三合と、再びアリーナに鋭い刃の音が響き出す。

(負けない、この馬鹿にだけは……!)

自分の悲劇も、目標も、掴みたい未来も、確かにとても大事だ。
でも、それでも……。
この一瞬においては、もはやそれさえも“無粋”だ。
勝つ。
勝ちたいヤツがいる。
勝って今の自分を認めさせたい相手がいる。
そいつに勝つ。
今戦っている、この馬鹿に勝つ。

――それ以外は、今は何もいらない。

「馬鹿な、何故あんな下らない罵倒一つで……!?」
男は、観客席で打ちひしがれながら呟いた。
(チン)周英(ジョウイン)は確かに、鈴を戦闘兵器に変える悪魔のボタンに手をかけた。
だがそれと同時に発せられた対戦相手の言葉が、あっさりと自分の催眠誘導(プログラム)を上回り、あまつさえ戦況を一変させている。
「あるはずがない、こんなふざけた現象など……!!」
そう頭を抱えていると――

「在り得ぬことなどないさ、現にぬしの目の前で起きたではないか」

背後からする幼老姫娼(ようろうきしょう)入り混じった奇異して妖艶なる声に振り返ると、そこには声に似つかわしい奇抜な風体の美女がいた。
銀絹金玉(ぎんけんこんぎょく)の美貌に、和と大陸の入り混じった不可思議な衣装、男なら目を奪われて然るべき艶やかな肢体――。
「先ほどから、その板切れで随分と愉しそ
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