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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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をかけるしかないのだった。


――――


第一アリーナ観客席。

二組の生徒数人が、一夏たちのいる席から少し離れた位置で固まっていた。
一人は、鈴に代表を下ろされた少女・外崎(とのさき)美生(みよ)。少し長い髪を後ろでまとめ、茶筅(ちゃせん)のようにしているのが特徴的だ。
簡易適性はBと上々で、学績・実力ともに良好。面倒見の良さと親しみやすさも手伝い、満場一致でのクラス代表に選出された。
しかしながらその栄光も三日天下と終わり、今は傷心を抱えながらも、現クラス代表の手並みを拝見している。
その傍らには2組の担任であるクリス・カワハラが、保護者のように寄り添っている。赤縁眼鏡と黒のタイトスカートのスーツに身を包んだ、理知的ながらどこか優しい雰囲気を持つ日系の女性教師である。
カワハラとしては外崎をこの場に出したくはなかったのだが、外崎本人たっての希望とあって、自分の同伴を条件に許可した。
ほか、二組の外崎の友人や2組のクラスメイトたちの数名が、彼女の周りを囲っている。
彼女たちもまた、先ほどから始まったあまりに締まらない試合内容に、不安と動揺と困惑を隠せずに呆然としていた。
クラス内でも鈴は“代表下ろし”の一見から、抜き身の刃を見るようにクラス中から警戒され、誰からも敬遠されていた。
鈴も鈴で、蛙の面に水とばかりに周囲からの扱いなど意にも介さず、クラス内で孤独に甘んじていた。
2組としては非常に強力な戦力ではあるが、大変扱いに困る人材であり、出来れば数メートル以内には近付きたくないとまで思われていた。
そんな取扱注意の危険人物が、今まさに目の前でうろたえながら怒りに任せて暴れている。
しかも相手は今を時めく話題の“男子生徒”で、強い・イケメン・料理上手と、三拍子揃っていると話題の男前のはずなのだが、その男前は噂とは程遠い低めの変なテンションで、自分たちのクラス代表を弄り倒している。
弄るネタに至っては、どれもこれも個人的かつ2組の生徒が知る(ファン)鈴音(リンイン)の剣呑なイメージからは程遠い、あまりに人間臭くバカバカしいものばかりであった。
(あれホントに、凰さんなの……?)
二週間前に外崎が対峙した鈴は、それこそ歩く人切り包丁そのものであり、同じ血が通った人間とは思えないほど冷血な戦い方で彼女を打ちのめしていた。
そして今日の試合も、はじめは自分を打ちのめした時と同じ雰囲気を放ち、先ほどに至ってはそれ以上の恐怖を感じる冷たさを見せていた。
それが今では、ただの怒りっぽくて気の強くそのクセ情に弱い、いわゆる典型的な“ツンデレ”の女の子にしか見えない。
外崎をはじめ、2組一同はこの奇天烈な光景に、思考能力が停止していた。
ところが外崎を筆頭に呆然とする2組の一同を余所に、ふと妙な声が聞こえて
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