暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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で必殺の一撃を見舞うためのプログラムを発動させる。
“プログラム<SO>”とは、修夜の扱う剣技『四詠桜花流(しえいおうかりゅう)剣術』を、ISで最大限に起動させるための補助プログラムである。ISに搭乗した状態でも、普段に限りなく近い動きを可能にする。
修夜は繰り出す剣技を心に決める。
二刀を左に寄せて下段に構え、その目を見開き、向かい来る鈴の動きを見定める。
思えば随分長く戦っていた気がする。
最初は押され、その次はグズグズの追撃戦で、そのあとは挑発と暴露大会と、ずいぶんな試合内容だった。
でも最後に、こうして昔からの彼女に出会えた。
やっぱりこいつは、考えるより感じて行動する方が“らしい”。
今のお前の方が、あんな戦闘マシンになっているときより、よっぽど楽しい。
きっとこれからは、あの日々のように下らないケンカで睨みあう、なんとも億劫でとても賑やかな生活になっていくのだろう。
正直、とても面倒だ。
それでも俺は、そんな騒々しい日常の方が、お前とのケンカに付き合うならベストだろう。
そうだろ、鈴?

「四詠桜花流、真傳之三(しんでんのさん)……」

だから……


獅子と龍が、互いの全力をその一撃に込める。


「はぁぁぁぁぁぁぁあっっ!!」
「おぉぉおぉぉぉぁあっっ!!」


瞬きの一時、間一髪の間で放たれた両者の全力。
その衝突が泥と飛沫を巻き上げ、フィールドの中央で爆発を起こした。
舞い上がる飛沫が水煙となり、二人の姿を隠す。

――どっちが勝った?

アリーナ中の人間が、水煙の中を覗こうと身を乗り出した。


漣迅(れんじん)蒼狼牙(そうろうが)丙形(へいけい)重 新 月(ちょうしんげつ)……!」


水煙の晴れた先で、白い獅子が前傾姿勢で二本の剣を右から天に突き上げ、残心して佇んでいた。
二刀による、昇り袈裟の重ね斬り。
赤紫の龍はその背後で、シールドを切らして機能を止めている。


「だから【今日は】俺が勝ちを貰うぜ、鈴?」

試合終了のアラームとともに、一条の光がフィールドに差し込んだ。

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