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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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ますわ」
縮こまる箒に対し、セシリアは温かい笑みを向けながら同意する。
それから目を丸くする箒にから試合へと顔を向け直し、また話しはじめた。
「わたくしも小さい頃からの友人はチェルシーさんぐらいでしたので、あのような遠慮を必要としない関係というものを、あまり深くは知りません。ISに携わるようになってからは、わたくし自身もすっかり余裕を失くしていましたから、訓練校で切磋琢磨し合える友人を得ることはありませんでした……」
だからこそ、あの二人のような絆が少し羨ましい。そんな風に、英国淑女は正直に告白した。
心の内を明かしたその顔は、眩しくもどこか切なげだった。
箒には一夏や修夜がいるが、彼らと鈴ほどのケンカをやり合った経験は無い。
「私も、一夏や修夜と揉めたときは、結局いつも誰かが退いて丸く収まっていた」
それゆえ修夜と鈴のような、遠慮のない絆があれば自分はもっと違ったのかもしれない。
もっと自由に、もっと素直に、真っ直ぐでいれたかもしれない。
「二人の素直さが、私には羨ましい……」
ただ純粋に箒はそう思い、セシリアの告白に応じた。
セシリアはただそれを素直に聞いてくれていた。
「……でしたら箒さんも、してみます?」
「……なにを、だ?」
「勝負を、ですよ。わたくしは敢えて、凰さんが勝つ方に賭けましょう」
「……は?」
英国淑女は何を思い立ったか、いきなり賭けを持ちかけ出した。
「わたくしは代表候補生の端くれとして、凰さんの片を持ちますわ。もし負けた場合には、箒さんだけでなく、いつもの皆さんにもなにかご馳走してさしあげましょう」
「いや、ちょっと、セシリア……!?」
「というわけで、箒さんは修夜さんに賭け(ベット)で、よろしいですわね?」
「いやいや待ってくれ、どこをどうしたらそうなる!?」
ぐいぐいと話を進めていくセシリアに付いていけず、箒はただただ混乱する。
「仲良くするだけが友情でないのでしたら、わたくしたちもと思いまして……」
ようするに、自分と勝負してみないかと、セシリアは箒を誘っているのだ。
ようやく要領を得た箒は、眉間にしわを寄せてついため息をついてしまう。
「いきなり過ぎたでしょうか……?」
「当たり前だ……」
少し気まずそうに笑うセシリアに、箒はうなだれたまま力無く答える。
それから、
「……だったら、私も何か美味しいものをみんなに食べさせよう」
そういって、何だかんだとセシリアの提案に乗ってみることにしたのだった。


剣閃と銃弾が舞い、その音が上がりはじめた雨の中で響いている。
何度刃を競り合っただろう、何度その砲身と熱しただろう、何度互いをその目で追い続けただろう……。
でもそれも、あと数分で終わる。
このまま飛び続けるだけでは、おそらく勝負はつかない。
欲しい
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