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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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な性格は、実に自己催眠にうってつけです)
清は自分が手解きを加えた優秀な人材が、今季最優秀と言われたイギリス代表候補を降した少年を追い詰める様を、実に爽快な心持ちで眺めるのだった。
――――
第一アリーナ、フィールド内。
既に小雨から本降りとなった戦場で、白亜と赤紫の機影が激しい攻防を続けている。
先ほどまで猛攻に打って出ていた修夜だが、鈴の突然の豹変に為す術なく逃げ回っていた。
試合時間も差し迫っており、一応はこのまま修夜が逃げ切れば、試合には勝てる。
だが正面から鈴と戦いたい修夜にとって、それは本意から外れた“逃げ”でしかない。
加えていうなら、深層同調稼働で鬼神と化した鈴に対し、その勝ち方は非現実的でしかない。
鈴が深層同調稼働をはじめてまだ数分だが、修夜には剃刀の上を歩かされるような、大変危うい時間である。
なにせ一撃が必殺の攻撃と化している今の鈴からダメージを貰えば、残しているシールドエネルギーが、あっという間に削られてしまう。
現に、さっきの一撃を防いだ時点で526まで削られた。まともに食らえば、その倍以上のダメージが入ってしまう。
精密な動きをする暴力マシンを前にしては、一瞬の気の緩みは命取りなのだ。
しかしながら修夜にも、決して攻める手立てがないわけではない。
(少しずつだけど、“落ちて”きやがったな……)
序盤こそ紙一重で避けていた修夜だったが、ここに来てわずかに余裕を取り戻してきている。
理由は修夜自身が鈴の攻撃の見切るタイミングをわずかにだが掴んでいることと、鈴の攻撃自体の精度が徐々に落ちはじめていることにあった。
《マスター、相手の反応速度が下がって来てる。そろそろ攻めようよ!》
「まだだ、シルフィー…くっ……。今は不用心に攻めても……ぅおっ、……力押しで返り討ちに遭うだけだ!」
反撃を提唱するシルフィーに対し、修夜はまだ慎重に動くべきと説きながえら、暴力マシンの攻撃を必死に避ける。
実際にシルフィーの分析では、鈴の反応速度は少しずつだが、数値として低下しはじめていることを示していた。
好機はまだ失せていない。
失せてはいないが、切り込もうにもまだ相手は隙を見せていない。
鈴が先に力尽きるか、修夜が判断を誤るか。既に戦いは泥仕合の様相を呈していた。
(こうなったら、こっちから隙を作らせるしか……)
そう考えた矢先に、
《マスター、避けてっ!!》
「え……、しまったっ!?」
気がほんの僅かそぞろになった瞬間、鈴は既に二刀を振り抜く態勢に入っていた。
避けるには間に合わない。
――ぐわぁん!!
鐘を撞くような響きとともに、修夜は再び壁の方まですっ飛ばされる。
ギリギリで攻撃を防いだものの、受けた衝撃で全身が軋むような苦痛に襲われ、後から壁が背中にぶつか
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