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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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これ、どんどん同調率が上がってる。こんなスピードで上がるなんておかしい……?!》
数値が大きくなるたび、シルフィーの声も驚きを大きくしていく。
《深化度……百二十パーセント……同調率……【臨界…突破】……、これって……!?》
妖精の声が驚きから、恐れへと変化して上ずった。
そして異常な数値を叩きだした本人は、いつの間にか機体を一メートルほど宙に浮かせ、幽霊のように生気なく漂っている。
相棒の大げさな怯え方に、修夜も事の異常性を徐々に感じはじめる。
修夜は改めて鈴を確認すると、相手は相変わらずゆったりとした動きで剣を持ちあげ、構えの動作に入っていた。
所作からは生気も覇気も感じられない。
感じられずとも、相対する武の達人はそれとは全く違う剣呑なものを、幼馴染から察知する。
(これは、殺気……!)
感づいた修夜は緩めていた構えを直し、臨戦状態に入る。
次の瞬間――

――ゆらり、ゆら……。

――ひょうっ……!

幽鬼のようにふらついたかと思うと、鈴は突如として鋭敏な加速で修夜に突撃したのだ。
「なっ……!?」
あり得ないほどの速度と機敏さで、赤紫の機影は白亜の獅子の懐に飛び込み、握りしめた刃を迷いなく振り抜かんとした。
対する修夜も、一撃を防御すべく大剣を前面に出す。
繰り出される片手での一閃は、
「ぐがっ……」
あろうことか一振りで修夜を、大剣ごと後ろへと吹き飛ばしてみせた。
一発、それも傍目にはさほど力んではいない、普通の一撃。
しかしこれを受けた修夜は、腕全体が痺れてしまいそうなほどの衝撃に見舞われていた。
壁に向かう前になんとか体勢を持ち直し、修夜は鈴がいるはずの正面に構えなおす。
「なに……!?」
構え直したところに、もう次の刃は迫っていた。
電光の速さで振られる刃を、上体を逸らし、ギリギリのところで避ける。
だが相手は二刀。間髪いれずに胸板を割らんと、もう一発の電撃が修夜を襲う。
「くそっ!」
修夜はとっさに地面にぶつかるのを覚悟で、アタックブースターを吹かして左斜め後ろに後退する。
その判断が功を奏し、寸でのところで電光の刃は修夜を掠めるに留まった。
振り落とされた一撃は、勢いそのままに地面を砕き、土砂と泥水を激しくまき散らす。
耐水フィールドが一瞬だが土色に汚れ、両者の視界を奪う。
この機を逃すまいと、修夜は上空へと急上昇し、鈴と大きく距離を取った――
「な……!?」
……はずなのに、自分を追跡する音に対して振り向いたときには、もう距離は埋まっていた。
鈴は既に剣を構えて振り抜く態勢にある。
(くそっ、何がどうなっていやがる……!?)
内心で悪態をつきながらも、修夜は降り抜かれた刃をブースターを利用して躱し、同時に距離をとっていく。
「おい拓海、なんなんだこれは
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