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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十二話『電(いなずま)』
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わざと鈴の癪に触るよう話しかける。
しかし鈴の方は、地面にうつ伏せに倒れ込んだまま、身じろぎ一つしない。
雨の降るフィールドにうつ伏せ、綺麗な髪を泥水に浸すままとしている。
修夜のシールドエネルギー、残り631ポイント。
鈴の方は、389ポイント残っている。
先ほどの一撃に加え、地面に叩きつけられたダメージで『絶対防御』が働き、シールドの消耗はさらに増していた。
絶対防御は操縦者を生命の危機を回避させる一方で、競技用で発動するとかなりのシールドエネルギーを消耗させられるのだ。
IS同士の対戦では、地面や障害物への衝突が効率よくダメージを与えるすべにもなる。
そして絶対防御が発動した以上、操縦者の気絶を防ぐ『スタンブロック』機能も発動する。鈴の意識は飛んでいないはずである。
起きているはずの鈴を、修夜はただ睨むように見つめ続ける。
「俺を土下座させるんだろ、あれは口先だけのパフォーマンスか、あの気迫もハッタリか?」
容赦のない責めで鈴をなじる修夜だが、修夜自身もこんなことは本意ではない。
こうして刺激することで、鈴が感情を露わにし、打算なしに戦ってくるのを待っているのだ。
だが修夜の考えを知ってか知らずか、鈴は一向に置きあがる気配を見せない。
濡れた地面に伏せたまま、修夜からの責められ続けるだけである。
「起きろよ鈴、いつまで這いつくばって不貞寝していやがるんだっ!!」
その一言に反応してか否か、鈴の指先が僅かばかり動いた。
――――
落ちた。
また落とされた。
また「ここ」だ。
いったい何度、自分は落とされることになるのだろうか……?
幼い頃からそうだった。
親戚内では常に底辺の扱いで、学校でも決して恵まれた環境にはなかった。
日本に引っ越してからは、一夏と“あの馬鹿”のお陰で改善はされた。
しかし、自分の体格や性格を卑下して楽しむ人間が消えることはなく、結局はいつまでも無力なままだった。
そして両親にも――。
自慢の父だった。
優しくて大らかで、みんなから愛される立派な人だった。
母も少し厳しかったが、美人で優しく自分のことを誰より愛してくれた。
だから報いたかった。
店を継ぐことなら、むしろ大歓迎だった。
あの場所で、あの店で、あのみんなで……。
だから必死に頑張った。
両親のケンカが無くなって、店が繁盛すればきっと上手くいくと思った。
――でも、そうならなかった
想い合っているのに、愛し合っているはずなのに。
それなのに二人は盆の水を覆してしまった。
現実はただ無慈悲に、自分をどん底へと突き落とす。
自分の努力は、現実に負けた。
……また“負ける”のか?
また負けを重ね、自分の“追い求める理想”を逃すのか?
また地の底に叩きつけら
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