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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十一話『雨』
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ようと……?」
〔無茶苦茶な論法だけど、多分あの二人だからこそ出来る方法だよ〕
驚きながらも尋ねる箒に「是」としながら、拓海は言葉を続けた。
〔修夜の一番の魅力はね、“やるときは常に全力なところ”なんだよ。
全力でぶつかっていくからこそ、相手にもベストを尽くさせる。それが最終的に、思いもしない結末を導き出すことさえあるからね〕
親友を超えた“家族”だからこそ、確信をもって言える言葉だった。
そこにいた全員が、拓海の言葉の意味するところを思い起こし、不思議な説得力を感じていた。
特に強く得心したのは、他ならぬセシリアだった。
かつて自分が彼と戦ったとき、彼の見せた全力が自分の心の底に眠っていた“純粋な思い”を呼び覚まし、その結果が今ここにいる自分を生み出している。
「信じていらっしゃるのですね、修夜さんのこと」
自然と笑顔になりながら、セシリアは拓海に言葉をかけた。
〔もちろんだよ。なにせ僕の“家族”で、一番の【相棒】だからね〕
セシリアの笑顔に応えるように、拓海も自信に満ちた笑みで返答する。
そんなときだった。
――ぽつり
一夏の額を、一滴の水がかすめて落ちていく。
それを合図にして、水滴は次々へと灰色の空から零れ落ち、第一アリーナ全体を湿らせていく。
「雨だ」
誰ともなくそう口にしはじめる。
雫は数秒に一滴ほどだったが、間もなくして小雨となった。
『雨天となりました。雨をよけるために屋根を稼働させます。
最前列の通路にいる方は、万一のために座席にお座りいただくか、後ろにお下がりください』
アリーナ中にアナウンスが響くと、耐衝撃用シェルターと兼用のアリーナの屋根がゆっくりと降りてくる。そして座席全体を覆うと、内部を照明で照らし、屋根の裏一面にフィールドの状況を映し出した。
最新科学による超大型の中空電子画面により、まるで先ほどと変わらない風景が、シェルターとなった屋根の内側に広がった。
「ひぇーっ、すっげえなぁコレ……!」
〔普段じゃなかなかお目にかかれれない機能だからね〕
IS学園に結集された科学力に驚く一夏を見て、他の面々はどこかほっとした気分となった。
「拓海、この試合はこの先どうなるんだ?」
ISの試合でも、雨天時は状況に応じて試合続行の可否が左右されやすい。
小雨程度で終われば続行することが多いが、大雨の場合は中止となる。特に雷雨や暴風雨は、操縦者自身の安全に係わるため、即刻で中止の判断が下るのだ。
〔現在の雨雲の様子から見て、雨脚は強まりそうだけど、中止するほどではないと思うよ〕
雨の中の試合。
それは一年生はおろか、上級生でもそう経験する試合ではない。
雨程度はISにとって何の障害にもなり得ないが、それを操る人間側には様々な影響が出る。
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