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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十一話『雨』
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。
「……たぶん、似た者同士だから……だろうな」
「……え?」
剣道少女の疑問に、二人の幼馴染である少年は私見を口にする。
「修夜も鈴も、基本意地っ張りで気が強いからさ。そのクセ他人のことは放っておかないし、何に対しても一生懸命になるからさ……。お互いに考え方が似通ってるから、直感でわかっちゃうんだと思う」
七度目の競り合いを見守りながら、一夏は独り語りのように言葉を紡ぐ。
修夜と鈴が似た者同士なのは、誰よりも近くで二人を見続けてきた一夏が最も知るところである。息をするようにケンカをはじめる修夜と鈴に割って入り、仲裁するが一夏のいつもの仕事であり、一夏もまた二人の在り方を深く理解していた。
だからこそ余計に、今繰り広げられているこの戦いの様相に、一種の違和感を感じてもいる。
「でもなんというか、今の鈴の戦い方は、アイツらしくないっていうか……さ…」
「らしくない……?」
「うん……、なんか無人機のときと比べて……怖いっていうか……」
箒の問いに、一夏はいつもながらの直感で答える。
いつもならここで「はっきりしろ」と誰かしら一夏に問いただすが、この場においては誰しもが一夏の答えに自然と納得していた。
特にセシリアに至っては、その戦い方に既視感を感じてさえいた。
(……本当に、ひと月前のわたくしとそっくりですわ)
代表候補生にとって、敗北は自身の立場を追い詰める忌むべき不安材料である。負けが込んでしまうと、最悪の場合は代表候補から外され、本国から強制帰還命令が下ることさえある。それはIS操縦者の競争からふるい落とされることであり、その挫折は信頼の失墜につながり、IS操縦者としての道が絶たれることを意味する。
かくいうこの英国代表候補生も、自身の家と両親の尊厳を守るためにその道を歩み、常に自分を追い詰めながら学園への主席入学をもぎ取った少女である。かつての彼女にとって、一度の敗北は万死に値する恥辱であり、守るべきものを守る道を絶たれることそのものだった。
クラス代表決定戦で少女が修夜に見せた鬼気迫る戦いぶりは、まさにこうした強迫観念にも近い使命感に突き動かされたがためである。
それをセシリアは、修夜と刃を交える代表候補生に対し、重ね合わせずにはいらなかった。
「凰が仕掛けた……!」
思わず箒は声を上げる。
八度目の競り合いで、焦れた鈴が修夜にさらなる猛攻を仕掛けたのだ。
「うわ……、さっきよりも速いし攻撃も重そう……!?」
体のバネを利用した鈴の激しい攻撃に、一夏は自分が受けたときを想像して顔を引きつらせる。
次の瞬間、修夜が鈴の痛打で大きく弾き飛ばされる。
「修夜!」
「大丈夫です箒さん。今のは剣でガードして、わざと受けたように見えましたわ!」
修夜の身を案じて叫んだ箒に、セシリアは鋭い洞察力で修夜の行動を見
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