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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十一話『雨』
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のサブマシンガンに繰り変えて、銃撃戦に転換する。
互いが互いの火線を読み合いながら、もつれ合うように弾丸が宙を飛び交う。
形勢は徐々に、五分になりはじめていた。
――――
第一アリーナ観客席。
空中での激しい攻防とは対照的に、観客席には奇妙な静けさが広がっていた。
「開始五分で、あれかよ……」
観客席のモニター正面の座席で、織斑一夏は二人の壮絶な鍔迫り合いに圧倒されていた。
一夏だけではない。客席でこの試合を観戦している者たちの多くが、一夏と同じ心境で試合展開に息を呑んでいた。
ドラマやゲーム、プロの格闘戦でも、IS同士のこんなに壮絶な競り合いはお目にかかれない。
それを今、自分を目の前で展開され、アリーナ中の観客たちが見入っているのだ。
「本国でも、あんな無茶な戦い方をされる方は、見たことがありませんわ……」
この中で一番ISの操縦歴の長いセシリア・オルコットでさえ、ISでの戦いではこれほどの剣と剣による激しいせめぎ合いは、そう見たことが無いらしい。
「そうなのか? セシリアの剣技は確かフェンシングのような動きだが」
篠乃之箒はセシリアの発言に、何気ない疑問を抱いた。
箒の言うように、フェンシングという剣術は非常に鍔迫り合いの激しい戦い方をする。
一旦お互いが間合いに入れば、有効打を狙って激しく剣を交えてしのぎを削るのだ。
「フェンシングでも常に間合いを取りつつ、隙をついて飛びこむものですわ」
「……そうか、それなら剣道とあまり差はないものだな」
武術にとって間合いは生命線である。
互いの獲物の長さ、重さ、攻撃箇所の大きさ、体躯、四肢の長さなど、諸々の要素から攻撃の届く範囲と早さを予測し、自分の身の安全を確保しながらも、相手に一撃を届かせる間隔を測る。それが間合い取りである。
いかに自分の得意な間合いに相手を寄せるか、実力が拮抗しているなら、間合いの読み方一つで勝負が決まることもあるのだ。
「そもそもISの戦闘は、本来は銃撃戦が主体の持久戦か、格闘戦でしたら読み合いと一撃必中の押収というのが普通ですもの。これほどまでに、お互いが接近し合ったまま剣をぶつける戦い方というのは、セオリーではありませんわ」
修夜と鈴の競り合いは、本来のISの戦闘、ひいては武術として見ても不合理と言えるのだ。
密着したままの攻撃の押収は、互いの体力をすり減らし、呼吸の乱れを誘う。そうなると特に競り合いに応じる側は、自分のリズムを作れずに圧迫され、同時に仕掛けた方も長期戦へ向けての体力がなくなる。
何より密着し過ぎると攻撃に勢いが付きにくく、威力の大きい一撃を繰り出しにくいのだ。
「むしろ、あれだけの数の攻撃を、お互いがほぼ完全に読み切っているというのが驚きだ」
剣道歴の長い箒にも、戦況の異様さは充分に伝わっていた
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