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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十一話『雨』
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な笑みだが、その声は自信と責任感に満ちていた。
「さて、悪いけどおしゃべりもそろそろ打ち切るか、試合時間が惜しいしな」
〔一応、試合時間のタイマーは止めてあるから、そっちのタイミングに任せるよ〕
見れば、メインモニターのタイマーは時を止めており、試合再開の一瞬を待っている。
〔じゃあ、頑張って来てくれよ〕
「おう」
お互いに声を掛け合うと、拓海は通信を終了させ、修夜も戦うべき相手に焦点を合わせる。
「聞こえるか、鈴」
修夜は再び開放回線で、鈴にコンタクトを図る。
だが通信する画面の前の鈴は、俯き加減でだんまりを決め込んでいた。
それを見てため息をつく修夜だが、めげずに声をかけ続ける。
「聞いているとは思うけど、試合再開だ。そろそろお互いに、本格的にやろうじゃねぇか」
その呼びかけにも、やはり返答はない。
「……ひとつ訊くぞ、さっきからのチキンプレイは何のつもりだ?」
この一言で、わずかに鈴の口角がさらに下がった。
「最初はアレだけガンガン攻めて来ておいて、いざ自分に不利となったら今度はひたすら逃げ回るだけ……。最初の威勢はどうした?」
「……うるさい、人の戦い方に口出さないで」
ここに来て、鈴から反論が返ってくる。
「まぁ、戦術としては正解だよ。やり方は間違っちゃいない。でもな……」
前置きしながら一拍置いた後に、
「違うだろ、お前は。俺の知る凰鈴音はな、あの場面でも強気に前に出て剣を交えようとする、そういうヤツだ!」
はっきりと言い放った。
この言葉に、鈴は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、修夜ら睨んだ。
「……もう、いないのよ」
今度は鈴が呟いた。
「アンタの知っている、泣き虫で弱虫で意地っ張り“だけ”のあたしは、もういない……!」
その言葉には、自分に暗示をかけようと、自律の意思が隠れているように聞こえた。
「あたしは変わったの、もう誰にも負けない“強い存在”になったのよ!」
今度は強くはっきりと、少女は自分の意思を示す。
少年はただ、自分を睨みつける少女の視線を、正面から受け止めていた。
「……そうか、わかったよ」
修夜がまた口を開く。
「なら思い出させてやるさ、お前が向こうで忘れたもの、全部をな」
言い放つと、再び実体振動剣とレーザーブレードを構え、再戦の態勢入る。
鈴もまた、双天牙月を構え直して修夜と向かい合う。
『これより試合を再開します。五秒前、四、三、二、一……』
アナウンスとともに、雨が沈めた試合の熱が再び上昇しはじめる。
『試合、再開です!』
ブザーとともに、修夜は鈴に向かって突撃していった。
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