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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十話『泣きだしそうな空の下で』
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から全部聞くことにした」
これが修夜の用事である。
どれだけ問いただそうと煙に巻いて逃げてしまう鈴から、事情を得るには単純だがこれが“最良”だと修夜は考えた。
何も構える必要はない。昔のように、ただ自分を押し通すために勝負に出ればいい。
二人にとって勝負事とは、お互いの純粋な“
我
(
が
)
の通し合い”なのだから。
修夜からの一方的な問答の中で、徐々に雲行きはさらに怪しくなり、空は黒くなっていく。
「もう一度言う、俺はお前から“全部聞きだす”。鈴、お前は俺に何をさせる……?」
問いに答えはなく、しばらくの沈黙が続く。
「……ホント、あんたって図々しいヤツよね」
回答は呟くような声で返ってきた。
「やれあぁしろとか、女らしくないだとか、バカだのなんだのってさ……」
呆れ返っているような、どこかけだるく力ない言葉が続く。
「前までのあたしならさ、いい加減なところで諦めてたけどさ……」
修夜と同じように、それはどこか昔を懐かしむようであった。
だがその言葉の最後で、小さく生気の火が灯る。
「今のあたしには、あるのよ、“力”が……」
噛みしめるように、言い聞かせるように、言葉は低く放たれる。
「この力で……、あたしはあの地獄みたいな場所から……、一夏のところに帰ってきた……」
返答は独語となり、独語は徐々に鈴自身の雰囲気を変えていく。
「やること? ……決まってるじゃない、あの夜にあたしにやったことを謝らせる」
少女のまとう雰囲気に、はっきりと生気が滲み出てくる。
「そしてもう一度、ちゃんと一夏と戦って……、あたしが一夏と一緒になる」
弱かった声はさらに力を得ていき、そこに確かな“覇気”が宿っていく。
「もう、誰にも邪魔させない……。一夏の隣は……私の“指定席”なんだから……!」
だが覇気は、その言葉とともに“淀んだ殺気”を帯びていく。
「負けない……、絶対に……、死んでも負けてやるもんか……」
一言一語、重ねるごとに闘志は黒く淀み、殺気へと変わっていく。
「土下座させて、その頭を踏んづけながら、泣いて謝らせてやる……!」
もはやそれは回答ではなく、憎悪に満ちた怨嗟と化していた。
かつての鈴には決してなかったものが、異常なまでの“勝利への執念”が、彼女を繊細な少女から“戦鬼”へと変貌させていく。
「……なるほど、それがお前の“闇”か、鈴」
修夜の前に、少女の“闇”の一端が顔をのぞかせる。
彼にはそれが、執念と殺気という雷雨を溜めこんだ“黒い雲”のように思えた。
『試合開始まで残り一分です。ルールを説明いたします』
『試合形式は1000ポイントマッチ、制限時間は40分の一本勝負です』
再び訪れた沈黙を、スピーカーで音割れしたアナウンスが破る。
それを聞いて修夜の精神も鈴の精神も、一気に緊張
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