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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十話『泣きだしそうな空の下で』
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り、俵型おにぎりにいなり寿司、きんぴらごぼうに煮豆、焼き鮭にからしレンコン、マカロニサラダに(たら)のフライにイカリングフライ、さらに梅酢漬け大根とわさび茄子、甘味に大福とようかんを添えてある。すべて修夜のお手製である。
(まぁ、言って大人しく言うことを聞く人ではないからね)
正直、説明も注意も、拓海はあくまで“やったという事実を得るためだけ”におこなっている。この事実のあるなしで、万一の際にかかる拓海への責任は、多少なりとも変化するからである。
その証人として、部活動棟の管理を任されている学園の教員・榊原(さかきばら)菜月(なつき)の姿があった。
拓海が第一アリーナを借りるための条件として、学園側は彼女を拓海の監視に付けることを提示し、拓海も想定内の条件としてあっさりと承認している。
そして肝心の監視員は現在、非常に渋い表情を浮かべていた。
理由は言うまい。
「あの、ここのポスター、ちゃんと見えていますか……?!」
とうとう業を煮やした菜月は、白夜に対して注意を喚起した。
当の本人はというと、赤い漆の大杯に持ち込んだ一升の酒瓶の中身を注いで、さっそく一杯煽ろうとしている。
「細かいことを気にするでない、精密機械からは程遠いであろうに」
「そういう問題ではありません!
 そもそも、この部屋の使用は相沢主任さんに許可したのであって、あなたのことは聞いてませんよ……!?」
「やれやれ、固いやつよのぅ……」
あくまでここで呑む気満々な洒落っ気の塊に対し、真面目さの塊も学園から監視を仰せつかった身として一歩も引いていない。
机とその上の弁当群を挟んで睨みあう二人。
そこに――
「……はい」
一人の少女が菜月に、出汁巻き卵がのった紙の取り皿と、割りばしを差し出してきた。
年頃は十二、三歳ほどだろうか、小柄で背丈も菜月が見降ろせるぐらいである。
だがそれ以上に目を引くのが、その容姿だ。
腰まで届く白銀の髪、目は赤い宝石を連想させるような紅茶色、顔は西洋人形を思わせるほどに端正で愛らしいが、肝心の表情も人形のようにほとんど動いていない。
だが少女の持つ雰囲気は、菜月の視線を引き付けて離さない不可思議な力を内包していた。
「あ……、あなたは……?」
それまでまるで気配のなかった少女が、突然自分の前に現れたことに驚く菜月。
「おや、【くー】かえ。手洗いの場所は分かったのか?」
「……うん、すぐそこだったです」
白夜が“くー”と呼んだ少女は、やはり表情を動かさずに頷き、小さな声で白夜に返答する。
「白夜先生、その子は一体……?」
騒動の異変に気付いて振り返った拓海も、今さらながらにくーの存在を認識する。
それに対する白夜の返答はと言うと――
「拾った」
一言であった。
「ひ……、拾ったって……、親御さんの
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