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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十話『泣きだしそうな空の下で』
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ルで繰り返したこともあった。そうするうちに、自分から友達を持つことを彼女は遠ざけていた。
だがIS学園になかば強制的に入学させられたことで、彼女は旧知と再会し、安定した学生生活を取り戻すことが出来た。思えば本音とセシリアは、長らく得らなかった安定の中で得た、最初の新しい友情だった。
「セシリア……」
「はい」
「この戦いはセシリアなら、どう終わったらいいと思う……?」
セシリアの友情に報いるなら、まず自分から心を開こう。箒はそう思い、自分の内に秘めた迷いを彼女に吐露した。
「きっとこの戦いは、修夜と一夏と、そして凰の絆を左右する戦いになると思う。もちろん、修夜には勝って欲しい。……でもきっと、それだけじゃ駄目だと思う。それだけじゃきっと、何かが足りない気がする」
箒の顔を見つめながら、セシリアは静かに彼女の言葉に耳を傾ける。
それから少し、俯き加減になって悩むような表情を浮かべると、また箒に向き直った。
「……それは、難しい問題だと思いますわ」
前置きを述べたうえで、セシリアは言葉を続けた。
「一番の収まり方は、修夜さんと凰さんが互いに悔いなく戦い抜かれて、それが少しでも凰さんがわたくしたちに、その(かたく)ななお心を開いてくださるきっかけになることだと思いますわ。
 今のあの方は、自分以外の何者も信じきれない、とてもお辛い状態にあるのだと思います」
かつてのセシリア自身がそうだった。
彼女の両親の死後、オルコットの財閥はその遺産と会社運営の利権を巡り、親族縁者が骨肉の争いを起こした。その最終決定権は幼いセシリアに委ねられたが、セシリアは親類たちの醜さに嫌悪し、自らにその権利を行使して財閥の代表となった。そしてそんな親類たちを黙らせるべく、代表候補生への狭き門をくぐり、イギリス本国からの絶大な庇護を得て現在に至っている。
だがその過程で彼女は心をすり減らし、気が付けば自分のことしか見えていない、かつて嫌悪した親族の同類になり下がっていた。もっとも彼女の場合、その先で修夜と出会い、互いに全力で戦い、その末に気がつくことが出来たのだが。
「修夜と全力でぶつかることが、解決の糸口……?」
不可思議な論法ではあるが、修夜と鈴の関係を考えれば、あるいはそもそも修夜自身が鈴にそれを吐かせるために、この試合を仕掛けたとするなら、この強引な理論も一つ説得力を持ちはじめる。
現実、箒もセシリアも窺い知ることは出来ていないが、修夜の本懐はまさにこれである。
「あれだけケンカをなさっていても、あのように一緒にいられるということは、それだけお二人に根本的に通じている部分がお在りからだと、わたくしは踏んでいますの。なにより、見ず知らずだったわたくしの心さえも、その太刀筋で開いて見せた方ですもの」
箒もセシリアの言わんとすることが、なんとなく
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