暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十九話『台風の目の中で』
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けど、これだけ綺麗に回復しているところを見れば、おそらくは正解かもね……。
 今回の敵の目的が、君と一夏の戦闘データの採取だってことが……〕
「なんだと……?」
なにか、胸くその悪い言葉が聞こえた気がした。
〔詳しくは、またあとで話すよ。とりあえず今は現場の撤収と、余力があればシールドが解除され次第、観客の誘導とかを手伝ってほしい。
 ただし、君と一夏は即行で保健室に向かうように!〕
「……は?」
〔千冬……いや、織斑先生からの厳命だからね〕
「……マジ?」
思わず耳を疑う。
〔少なくとも、一夏は普段以上の実力を出してへろへろだろうし、修夜もその脚で何にもない保証はないからね〕
しかし、理由を聞かされ、あぁなるほどと得心する。
たしかに、無人機の手のあとがうっすらと残る脚のフレームを見れば、ただで済んだとは思わないだろう。実際に、警告域まで脚部のダメージは通っていた訳だし……。
千冬さんなりの、俺と一夏への配慮ってことか。
〔とりあえずみんな、疲れているところ悪いけど、現場のフォローのほうを頼むよ。
 お詫びと言ってはなんだけど、あとで“いいもの”を差し入れさせてもらうからさ〕
改めて全員に事情を通達する拓海。
みんなの反応はというと、不満げな顔の鈴以外は二つ返事で応じてくれていた。
ただ、拓海が鈴に個人秘匿通信(プライベート・チャンネル)でなにかを言い含めさせたようで、その後は鈴も渋々ながら同意していた。
何を言ったのかを訊いてみたものの、拓海は「鈴のやる気スイッチを押しただけ」だと、結局はいつもの笑顔ではぐらかされてしまった。
……まぁ、その言い方なら大体の察しは着くけどな。
やがて施設内のシールドが正常に戻り、スタンド席の入口のランプも非常時を意味する赤から、平常時を示す青へと変化する。

『緊急警報が解除されました。施設内の機能が正常に戻りました。』
『これより誘導を開始しますので、生徒の皆さんは係員の指示に従いならが、落ち着いて退出してください』
『繰り返します――……』

アリーナ中に、山田先生によるアナウンスの声が響き渡る。
スタンドのみんなの雰囲気が、一気に弛緩していくのが見て取れた。
「さてと……」
俺は改めて一夏の方を向きながら、声をかける。
「とりあえず行くぞ、一夏。俺たちは……」
その瞬間だった。

――ごつん がしゃん

「……一夏?」
おい、なんの冗談だ。
振り向いたと同時に、一夏は白式をまとったまま膝から崩れ、地面に正面から倒れ伏した。
一瞬、その場にいた全員が凍りついた。
女子たちは突然の出来事に困惑して固まり、俺は急いで駆け寄って体を仰向けに抱き起こし、ぐったりとした一夏の体を揺すった。
「おい、一夏しっかりしろ。おい、聞こえてんのか、この馬
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