暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十九話『台風の目の中で』
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目した全員が、リアクションを忘れてただ呆然とするばかりになった。
「ところで、課題の方は?」
「シルフィによれば、九分十二秒らしいです。まぁ、予想外の抵抗に面食らっちまって……」
「やれやれ、慢心とは感心せんのぅ」
なんとなく回りくどく喋った俺に対し、師匠はただ苦笑で応じる。
「一応は鈴の方も、ちゃんと力を貸したようじゃの?」
「……あんなエグイ発破のかけ方、俺や鈴じゃなきゃ(うつ)になってますよ」
少し師匠に牽制をかけてみると――
「そこははら、お前が上手く汲み取ったんじゃろ……?」
そう言いながら微笑み返されてしまった。
どうやら師匠は、俺の性格も織り込んで鈴をなじっていたらしい。
俺がフォローに回らなかったら……、いや“絶対やるだろう”と見越されたんだろうな。
自分でいうのもなんだが、相当甘いよな、俺も……。

――ピリリ、ピリリ

……この電子音は!
突然なった着信のアラームに、俺は急いで中空電子画面(マルチモニター)を展開して応じる。
〔やぁ、お疲れ修夜〕
「……ったく、遅ぇよ相棒」
〔全作業工程、無事に完了。システムの奪還にも成功したから、あと五分もすれば復旧するよ〕
通信が途絶していた拓海が、今度はちゃんと顔を出して俺に話しかけてきた。
さらに間もなくして全員のISからアラームが鳴り、慌てて応じたその画面に、二人の教師の顔が映っていた。
〔こちら第二アリーナAピット、皆さん聞こえますか……!?〕
「山田先生……!」
〔織斑君、大丈夫でした……!?〕
「はい、俺もみんなも大丈夫です!」
不安げな山田先生に対し、笑顔で応える一夏。
「こちらセシリア・オルコット、異常ありませんわ」
「篠乃之箒、問題ありません」
「……凰鈴音、とりあえず…大丈夫です」
明るく応えるセシリアと箒の対し、なぜかばつが悪そうに応える鈴。
それでも全員が無事と分かると、山田先生はよかったと言って安堵し、泣きだしてしまった。
そんな山田先生の横から、千冬さんが画面を切り替えて俺たちに顔を見せた。
〔私だ。全員無事で何よりだ、よくこの緊急事態を制してくれた。
 よくやってくれた、そしてよく無事に帰って来てくれた、……“ありがとう”〕
その一言に、俺も含めて全員が驚いてしまった。
そこで話していたのは、たしかにいつもの“教師としての千冬さん”ではあったが、それでも最後の一言だけは、千冬さん自身の“本音”が聞けた気がした。
普段がスパルタなだけに、こんな千冬さんを見ることなどないのだ。
「……で、今度こそ大丈夫なんだよな?」
〔あれだけ修夜たちが暴れまわれば、向こうも満足したと思うよ〕
その発言に、俺は引っ掛かるものを感じずにはいられなかった。
「どういう意味だ……?」
〔単なる推論でしかない
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