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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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れを一夏がおのずと見抜いたことに気がついた。
むしろ、“らしくなかった”の修夜の方だったらしい。
不覚にも一本取られたと、修夜は思わず苦笑する。
「生意気言うじゃねぇか……。じゃあ、お前が外したら、お前主催で寿司パーティーな?」
「お、おいおい……」
今度は修夜が、一夏に対して軽口をたたく。
「鍋の件、忘れたとは言わせないぜ?」
「う……」
思わぬ反撃に、黙り込んでしまう一夏。
《マスター、みんなが目的の陣形を形成したよ!》
そう言いあうさなか、前方の準備が整ったことをシルフィーが告げる。
「シルフィー、頼んだぜ!」
《了解!!》

――Assemble System.

「コール、ASBL:ブラスト!」

――Drive Ignition.

修夜の命を聞き、蒼穹の獅子が、淡い光に包まれて瞬く間に変化を遂げていく。
そして光がはじけた瞬間、「蒼穹を舞う蒼い獅子」はその姿を変貌させる。
空を想起させる蒼い装甲は大地を思わせる冴えたオレンジに、鋭敏な翼をもつ大型のバーニアは背後に向けて箱型に膨らみ大型化、スタビライザーの着いた前衛的な装甲は分厚く張り出し、両腕両脚にはスタビライザーの代わりに鋭利なブレードが出現する。また腰の左右には、(やじり)のようなアンカーとそれを収める六角形の匣状の物体が出現する。
その手には、全長三メートル以上になる突撃槍が携えられていた。

その様相、黄昏の荒野に立つ重騎兵の如し。

「ほぇ〜〜……。カッコいいなぁ……」
その勇ましい機影に、一夏も見とれてしまう。
「ボケっとすんな、まずはお前からだろ!」
「わ…、悪いわるいっ……!」
注意を受けた一夏は、すぐさま前を向き直し、中段の構えを取る。

「いくぜ……。
 出力最大っ、『零落白夜』―― 解 放 !!」

その声とともに、一夏が握る実体剣『雪片二型(ゆきひらにがた)』の刃が、左右に割れて縮み、白亜のエネルギーを放出する。白の奔流は、かろうじて“刀身らしきもの”へと変貌する。
一夏の目の前に中空電子画面(マルチモニター)表示され、そこに活動限界時間が表示される。
その時間、およそ三分。
「まだまだぁっ、瞬時加速(イグニッション・ブースト)最大充填(マックス・チャージ)!!」
叫びとともに、背中の六枚の翼は平行に並び、それぞれの噴射口に火が入る。
活動限界が、一気に一分間も減少する。
《一夏、今だよ!!》
「行けっ、一夏ぁっ!!」
「白式……、発進(テイクオフ)!!」
友と彼の相棒の声を背に、一夏は一瞬にして“白亜の矢”と化した。
全身を押しつぶつほどのG、目を開けることも困難な風圧。
PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)の恩恵をもってしてなお、一夏に自然法則が
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