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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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了解だ……!」
修夜のマイク音声に促され、一夏はすぐさま後方へと退き、修夜も後方へ退避する。
砂埃が舞う中、無人機は全身のスラスターを器用に駆使して数秒で復帰。後退する二人の影を捉え、すぐさま追おうとブースターに火を入れる。
ところが噴射口が推進力を生む寸前で、空中から何本もの光の矢が、無人機の足元に突き刺さるように降り注ぐ。
見れば、四機のBT兵器の子機が、空中から垂直に矢の雨を降らせ、行く手を阻んでいた。
「一意…、専心……!!」
「食らぇぇえっ!!」
息をつく間もなく、今度は二機四閃の刃が両脇から迫る。
すかさず上空へ上がろうとするも、矢の雨は降る向きを変え、無人機の頭上を直接狙ってきた。
(上にも前にも、絶対に行かせません!!)
セシリアの意地が通じたか、『蒼い雫《ブルー・ティアーズ》』のビットは無人機の頭上を捉え、バリアーシールドに連続したダメージを与えつつ、機体を地上へと押し込めていく。
そして示し合わせたかのように、両脇から箒と鈴が二刀を振るって挟み撃ちにする。
獣の(あぎと)ごとく、四つの刃が牙のように鉄の巨躯を捉えんとした。
だが……
「ぐぅっ……!」
「またこれ……!?」
それは叶わず、二人の前に妖しい赤の光が現れる。
局所バリアーシールド。魔の赤い盾が、二人の少女の剣線をさえぎっていた。
「凰、構うな、このまま押し込むぞ!!」
「命令してんじゃ……ないわよっ……!!」
二人とも、拮抗する盾に構うこと無く、ブースターを吹かし、そのまま無人機の巨躯をぐいぐいと押していく。
無人機も負けじと、全身のスラスターを調整し、二人を弾き飛ばそうと押し返す。
「お二人とも、その調子ですわ!!」
そう叫んだセシリアも、すかさず<スターライトmkV>を構え、無人機の丸い頭めがけて何度もビームを撃ち込んでいく。

鉄色の巨人は三つの楔を打ちつけられ、舞台は、今まさに完成の時を迎えた。

――――

無人機から下がった数十メートル後方。二人の少年が突撃の瞬間を待っていた。
「一夏、遠慮は無しだ。エネルギーをスッカラカンにするぐらいでやっちまえ」
いつになく剛毅な指示を、しかめ面で一夏に飛ばす修夜。
逆に言うと、それぐらいやらなければ勝機も見えてこないのだ。
修夜のこわばった顔を見る一夏。
その真剣な表情に対し――
「修夜こそ、万一でも外したら、みんなに満漢全席サービスだからな?」
「……はぁ?」
突然、一夏は修夜に妙な賭けを切り出す。
これには修夜も、思わず一夏に顔を向けて訊き返した。
「あのなぁ、こんなときにいきなり……!?」
「こんなときだからこそ、だよ。それとも、修夜でも外す方が確率高いのか?」
そこまで言われてムッとすると同時に、修夜は自分の(りき)みを知覚し、そ
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