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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十七話『八千年之神狐(やちとせのみこ)』
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IS学園・第二アリーナ――

少女たちの激戦の末の勝利は、観客席にいた他の少女たちの心情にも、変化をもたらした。
「……勝った…の……?」
「私たち……助かった……んだよね……?」
「やった……、やったんだ……!!」
恐怖の使者は力尽き、アリーナは徐々にだが、安堵の空気に包まれはじめていた。
ある者は、見ず知らずの隣人と手を取り合い、喜びを分かち合った。
またある者は、緊張の糸が切れて泣き崩れ、友人に支えられていた。
はたまたある者は、早くこの惨劇を忘れ去ろうと、このあとのことや明日の予定を気にかけた。
段々と観客席は、喧騒にも似たざわめきを帯びはじめる。
そんなアリーナの片隅で――

『PipoPipo, PapoPapo ♪』

ピンク色の、耳の付いた球体が、Bカタパルトのマスドライバーの上で、呑気に弾んでいた。

『ウーサギウサギ ナニミテハネル?』
『PipoPapo, PipoPepo ♪』

『ツギイッテミヨー! ツギイッテミヨー!』

――――

第二アリーナ・バトルフィールド内――

奮闘を制した三人の少女たちに、修夜と一夏はゆるりと近づいた。
「すっげ〜なぁ、みんな!!」
どこかまだ不機嫌そうな修夜を尻目に、一夏は箒、セシリア、鈴の三人の健闘を絶賛していた。
「あのセシリアのビーム、あんなの撃てたんだな!」
「近ぇよ、馬鹿。セシリアが引いちまってるだろ……」
興奮気味な一夏を、ぶっきらぼうに制する修夜。
そのやり取りに、セシリアは思いがけずクスリと笑う。
「あれは本来、超長距離狙撃のためのビームですの。本当なら数キロメートル先の的を狙うために、その間の威力減衰を考慮して、あの大出力になっているんですわ」
「なるほど、それをたった数十メートル先の相手に直当てすると、競技用リミッターがかかっていても、あの破壊力というワケか……」
「途中まで手動照準(セルフロック)で、照準倍率を変更しなくてはいけないんですけどね」
つまり、セシリアがスターライトmkVで放った極太レーザーは、今回のように扱うことは滅多にないうえ、使えたとしても手間がかかって撃つまでに時間がかかってしまうのだ。
「それに、あまり短時間に何発も高出力で撃つと、銃身や機関部が焼けてしまいますし……」
「へぇ〜、“諸刃の剣”ってヤツかぁ……」
そんな一夏を、横目で不機嫌そうに見るのが、二名ほど。
(まぁ、セシリアが一番ド派手だったからな……)
箒は他の二人のために時間を稼ぎ、鈴は無人機の抵抗を止めた功労者だ。しかしながら、遠目で見ていると一番目立っていたのは、空を飛びながらビームを放ち、さらに急加速で上から斬撃を加えたセシリアだった。
誰が欠けても不可能だった連携のワケだが、最もダメージ量に貢献した二人
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