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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
1:酒場にて
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「オーイ! こっちだ、キリの字ィ! よく来てくれたな!」

 そう言って、店の奥から喧騒に負けない大声で手を振るクラインが俺を迎えた。
 彼が俺に送って来たメッセージの内容には書いていなかったが、彼の隣には何故か、俺の腐れ縁の商人であるエギルも同席していて、豪快にジョッキを(あお)っていた。
 ここはアインクラッド第五十層の都市《アルケード》にある、とある大衆酒場だ。フロアいっぱいに丸テーブルとイスが無造作に所狭しと並べられ、店の外に居ても聞こえて来るほどの猥雑な喧騒をBGMに、ジョッキや料理を満載したトレイを両手に持つNPCウェイトレスが溢れ返った客の中を間を縫うように動き回る忙しない場所だが、ここの近くには俺のねぐらやエギルの店がある点、俺達を呼ぶには悪くない指名地点だ。
 だがしかし、一日の攻略と狩りを終えてヘトヘトになりながら帰り道を歩いている最中、いきなり急ぎの呼び出しのメッセージを送ってくれた点については些か苛立ちを覚えないでもない。この中々に豪勢である晩餐がオゴリという追伸がなければ、きっとメッセージを無視して、今でもトボトボと家路に就き続けている自信が俺にはあった。
 そのまま渋り顔で席に着き、頬杖片手にお冷で喉を潤してから一息ついてボヤく。

「俺、こう見えても攻略に向けて結構忙しいんだけどな……」

「まぁそう言うな、キリト。あのクラインがオレ達の席も全部オゴリで用意したんだ。きっと相当な話だぜ?」

 エギルがポンポンと軽く背中を叩いてどやす。

「エギルの旦那はたまたま同じ店に居ただけだろ! なんで俺様が、いつの間に旦那の飯までオゴるハメになってんだよ!?」

「おいおい、そうカタいこと言うなって。お前だって、ウチに貸しが無いわけじゃないだろう?」

「そ、そりゃそうだがっ……あーもう分かったって! とにかく本題を始めるぞ! わざわざキリ公を急がせた意味がねーからな!」

「おう、早速話してくれるとこっちとしても嬉しい。俺も二人の漫才を見に来たわけじゃないからな」

 いつもの馬鹿なやり取りとテーブルに並ぶ肉メインの料理もそこそこに、クラインはゴホンと咳をして、表情を引き締めて切り出した。

「――キリト。俺から……いや、俺のギルド《風林火山》から、手前に仕事を依頼したい」

「え? ……あっ」

 真顔で言うクラインの言葉の真意を測りかね、俺は口に運びかけたローストビーフをベチャリとフォークから皿へ落としてしまう。
 どうやらエギルも同意見だったようだ。

「ほう……? 珍しいな、クライン。お前が他人に仕事を依頼なんてな。となると内容はアレか……最前線の攻略関連か、あとは……ギルド間での厄介事の仲裁か?」

 そのエギルの言葉は的を射ていた。
 クラインはSAO
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