1:酒場にて
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「ははは。出かける前に、そいつらに会ってどうしてそんなビルドにしたのか聞きたいな。……それで、三つ目の条件はなんだ?」
「三つ目は……あー……いや、これは条件というよりも……その、なんだ……」
そこでエギルは指を立てていた手を降ろし、茶を濁すように目を逸らして気まずそうに身じろぎをした。
――ジジジッ……
不意に、後頭部がチリチリと微かに焦げたような錯覚――嫌な予感がした。俺はそれを表に出さず、あえて微笑を浮かべて先を促した。
「なんだよ、焦らすなよエギル」
「ああ、悪い……。オレの知り合いのアルゴって情報屋がな、かつて《大鎌》習得者の人数確認の為に、その全員とフレンド登録していたそうなんだが……その、ソイツ曰くだな……」
「《大鎌》使いが一人も居ない原因の三つ目。それは――」
それでも口篭るエギルの言葉を上書きしたのは、未だに沈痛な面持ちをしたクラインだった。それを見た俺は、半ば強がりで浮かべていた微笑も浮かべる気も失せ、増徴を続ける嫌な予感の裏切りをただただ期待して次の言葉を待った。
――だが、出てきた言葉は……俺の淡い期待であった悪い予感の裏切りを裏切るものだった。
「――習得者だった十人のプレイヤーは全員、原因不明の怪死を遂げた」
「……………え?」
カン、カララン……と何度目かの空になったグラスがテーブルを叩き、中の氷が踊る音だけが響く。
その瞬間から、BGM同然に聞こえていた店の喧騒は大音量のノイズとなって、俺の耳に雪崩れ込んだ。
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