1:酒場にて
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》《戦槌》《棍棒》など、棒タイプの両手武器スキルを複数、ある程度熟練していること」
「もうそれだけでかなり数が絞られるな」
戦闘スキルを鍛え育成していく際、メインとなるそれぞれの武器スキル、それにサブとして短剣や投剣、ピックなど小さな武器の二つにスロットを絞り、集中して重点的に育成していくのがセオリーである。勿論、他のMMORPGにも見られるように、スキル育成において例外や個性というものがこのSAOにもあり、様々な武器を試したいが故に浮気性に鍛錬する者も多くいるが、わざわざ複数の棒状の両手武器を、マスタークラスに迫るまで習得しているものはかなり稀だ。これで該当する職を挙げると数える程しかないが……
「二つ。防御力に優れたステータスでなく、重鎧や盾を装備していないこと。もしそれらの防具を装備してると、スキルを発動出来ないどころか、鎌を装備することすらも叶わんらしい」
「更にタンクの線も消えたか」
つい先ほど予想していた、タンク……つまり壁役のステータスでもないとすると、いよいよ数が際限無く限られてくる。
普通、両手武器は片手武器よりも振る速度が遅く、殆どの物はかなり重い為に相応の高い腕力を必要とする上、更に剣でなく棒にもなると、連続攻撃の合間にも反撃を許しやすい程の扱い辛さも持つ、想像以上にアクの強いジャンルだ。タンクは役職上火力を必要としないので、様々な敵に対応できるように複数の武器スキルを習得することもあるが、重鎧や腕に付けるバックラーも着込めないとなるとこの線も消える。中には防具のみを頼らず武器でのパリィ防御で前線を維持するタンクも存在するが、彼らとて鎧や盾の一つは必ず装備する。装備しないメリットが、防御職である彼らには存在しないからだ。
長槍などの遠距離からの火力支援型のケースも考えたが、こちらもダメだ。何故なら、防御や敏捷も必要とする前線火力職以上に純粋に火力を第一に要求される職が、メインの棒武器の鍛錬を他所に、別の棒武器スキルをメインに迫るまで上げる事も考えにくいからだ。結果、複数の両手武器を修練するメリットは、ほぼタンク専用にあると言ってもいい。
つまり、この条件をクリアする該当者の大まかなステータスは、こうなってしまう。
それぞれ扱いに一癖も二癖もある棒武器を、火力を犠牲にしてでも、最低2種類以上は精通し、両手が塞がる重い武器を抱えながら、いつ肉薄され攻撃されるか分からないアクシデントに対して、頑丈な盾や鎧に頼る事も無いという、実に辺鄙なビルドになるのだ。結果だけ見れば、セオリーも何もあったもんじゃないトンデモな失敗ステータス配分である。仮にも命が掛かったデスゲームの只中に居る中、こんなビルドで本当に大丈夫かと此方が心配になる程だ。それこそ、一万人中習得者が僅か十人程度という話も頷ける。
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