1:酒場にて
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く知ってるぜ、アイツらは嘘なんてつかない良いヤツらだってな。……だから死神は実在するし、俺はアイツらを傷つけた死神が許せねぇ……!」
グラスを持つ手とは反対側の手がギリリ、という音が此方にまで聞こえて来るまで強く握り締められる。が、不意にその手が緩んだ。
「……けどよ、俺が敵討ちに行こうにもよ……ギルメン全員に涙目で引き止められちまってよ。それでも行こうとしたけどよ……でも引き止める方の気持ちも分かっててさ……。だって、仕方ねェよな……俺よりもレベルも武器の扱いも上だったアイツらが、コテンパンにされて虫の息で帰って来てんだ。情け無ェ話、そんな時に皆で相談して白羽の矢が立ったのが手前って訳よ……。――ダチの敵討ちをダチに頼むとか、マジで笑えねェッ……何一つ出来ねぇ俺ッ、マジで、情け無ェッ……」
込み上げる嗚咽を堪えるように話しながら、とうとうクラインは二杯目のグラスを一気に空にし、カランと氷を鳴らす。その伏せられた眉間には悔しさと申し訳無さで深い皺が刻まれ、金壷眼の瞳は細かく揺れて少し濡れている様だった。
「まったく……お前もバカだな、クライン。それは情け無いんじゃなくて、それでも……ちゃーんと『ダチ想い』って言うんだよ」
エギルはいつになく柔らかい声色で、クラインのグラスにおかわりのウィスキーを注ぐ。そのよく通る優しいバリトンは、五月蝿いはずだった店の喧騒を遠いBGMに変えてしまう。
(クラインもだけど……エギル、お前も大概だよ)
と、密かに心の中で、この二人と友人であることを誇りに思いながら、クラインが落ち着くまで間を空けてから口を開いた。
「……事の成り行きも分かったけど、もう一つ事件の話を聞いてからずっと気になってたんだ。話の中にあった《大鎌》って一体……」
「そいつは、オレが説明してやろう。その件はオレも良く知ってるからな」
俺の言葉には、クラインを気遣ってか……エギルがすぐさま答えてくれた。
「《大鎌》……十数種あるらしい《エクストラスキル》の一つだな。今ではエクストラスキルも大分解明されて来たから、大体どれも最低十人以上は習得者が居ると聞いてる。……ああ、KoB団長様の《神聖剣》は別だがな」
それを聞いて、ヒヤリと冷や汗が流れる。……そう。その《神聖剣》と、密かに俺が持つ《二刀流》は俗に言う《ユニークスキル》と呼ばれる、習得者が一人しか居ないスキルなのだ。バレない分かっていても、冷たい感触が走るのは仕方が無いというものだ。
「だが、中でもこの《大鎌》は習得者が最も少なく、今ではこのスキルを使う者はゼロとさえ言われてんだ」
「何故だ?」
「理由は3つある」
エギルは掲げて見せた握り拳から三本の指を突き出した。
「一つ。習得条件として《槍》《斧
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