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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
1:酒場にて
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に措ける大抵の困難に対してレベルが別段過不足な訳ではないだけでなく、ギルドリーダーとなる気概もあって、クエストや他人に依頼するような事柄も全てギルド一丸となって取り組むような男だ。そのクラインが直々に他人に何かを依頼するという話はついぞ聞いた事がなかった。しかも、わざわざ同じ攻略組の一人である俺へ頼み事とくれば、エギルも言った通り、最前線クラスの危険が伴う仕事なのだろうか……と考えを巡らせていると、クラインも俺の心の内を察していたらしく、

「いや……そういう類の仕事じゃねぇ。今回のヤマはちょい特殊で、流石の俺様も専門外っつーか……とにかく話を聞いてくれ」

 と、首を左右に振った。クラインはここで初めて、少しだけエールのタンブラーを傾けてから、周りを気にするように声を抑えて話しだした。

「まだ殆ど知られてない噂なんだけどな……」

 慎重に念を押したように前置きしてから一拍置いて、


「――キリ公、旦那。《ミストユニコーン》って知ってるか?」


「発見されたのかっ!?」

「うわっ!?」

 ガタッとイスを鳴らして席を立ち、クラインへ身を乗り出したエギルの大声に驚き、俺は再び中身がレアな焼き加減の桃色が魅力的な牛肉の切り身を口に入れ損ねる。

「ちょっ……声がデケェよ旦那! 俺様も今知ってる事自体が僥倖な情報だってのに!」

「あ、ああ……すまん。オレとした事が、久々のレアなニュースに興奮しちまった」

 クラインの真似をするように少し落ち着きを欠き始めたエギルを片目に、俺は今度こそ三度目の正直とばかりに肉を口に放り込み、赤ワインベースの上品なソースの味と牛肉の原始的な旨味をじっくり噛み締めてから二人を宥めた。

「この繁盛騒ぎっぷりだし、余裕で大丈夫だろ。それで、ミスト……えーと、なんだそれは?」

「ミストユニコーン。端的に言っちまえば、レア中のレアモンスターだ」

 俺の問いに答えたのは依頼主ではなく、まだ少し口調が興奮した、ただの同席者のほうだった。

「アインクラッドのどっかでランダムに生息してる、僅か十体しかいないとされてる馬型のモンスターでな、普通のレアモンスターなら狩られ尽くしても、数は少ないが再湧出(リポップ)して世界からいなくなることは無いんだが……コイツは狩られても再湧出(リポップ)しないんだ。つまり、個体数が十体コッキリの幻の馬だ」

「代弁感謝するぜ、旦那。……キリトには俺様の新しいカタナの為に、(やっこ)さんのドロップする貴重な素材を調達して来てもらいてェんだ」

「ああ……ウチの店もあの素材を入荷してガッポリ儲けたいぜチクショウめ」

「ヘヘッ、悪ィな旦那。今度の武器調達は、旦那の経由無しになりそうだぜ」

「……ああ、思い出した。俺
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