暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十四話『“信じる”という言葉』
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とにかく真っ黒野郎を叩き伏せることの方が、鈴にとっては優先っぽい。
ただそれも、一面で正しいことだと思う。
本当に観客を助けるんだったら、逃げ回らずに戦うべきだ。
幸いにも、俺には“零落白夜(れいらくびゃくや)”という、とっておきの切り札がある。
でもそれは、万一外せば俺自身を追い詰める諸刃の剣だ。
今それを気軽に使うには、俺は少しシールドエネルギーを使いすぎている。
俺のシールドエネルギーは310ポイント、極太のビームが何度かかすれて、逃げはじめるときよりも何ポイントか減ってしまった。
たぶん、いま零落白夜を発動させれば、長くても2分が限界。それも発動と中断を繰り返して、ようやくこの長さだ。
それにこの力での攻撃は、射程が短い。瞬時加速(イグニッション・ブースト)を併用して飛びこむ必要があるから、一回の発動で100ポイント以上のシールドエネルギーを使うことになる。
なにより、この真っ黒野郎の回避行動の仕方が不味い。
仮にコイツが学園の生徒だったなら、同じ状況でも当ていく自信はある。
でもコイツは、まるで予知能力でもあるかのように、ひょいひょいと攻撃を避けていく。
俺と鈴の挟み撃ちでも、避けまくられる危険性の方が高い。
そうなったら、俺が先に戦闘不能になって、今度は鈴が追い詰められるかもしれない。そうじゃないなら、このアリーナを攻撃し続けるかもしれない。
「ナニのんきなこと言ってのよ。だったら、とっとと始末して終わらせるべきじゃないっ?!」
「鈴も分かってるだろ、コイツの反応スピートは、どう考えてもおかしいって!!」
「だから何なのよっ、昔の一夏だったら、こんな弱虫な行動とらなかったじゃないっ!?」
言われて俺は、思わず黙ってしまった。
たしかに、昔の俺ならところ構わず突っ込んだろうし、ハッタリも博打もかましたはずだ。
でもそれは、別の言い方をすると“後先を見ない無鉄砲なだけ”だった、ということでもある。博打やハッタリだって、むやみに突っ込んで行き詰ったときに、とっさに思いついたことをやっていただけだ。
そんな鉄砲玉みたいな俺は、クラス代表決定戦でも、普段の特訓でも、やたらと突っ込んで負けるのがお約束になっていた。
それを見て、拓海と修夜は俺に助け船を出してくれた。だからこうして、戦況を考えて戦う知恵も付いた。
(結局、どっちが正しいんだ、この状況なら……!?)
昔みたいに、無茶でも突っ込んで戦うべきなのか。
それとも、修夜たちの到着を信じて、慎重に立ち回るべきなのか。

――俺は一体、どうすれば……!?


――ヴゥン
――ガタン


そのときだった。
第二アリーナが、BピットのハッチとDピットのハッチを同時に展開させ、カタパルトを延長させはじめた。
俺も鈴も、会場中のみんなも、そし
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