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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十三話『救出への灯(ともしび)、その光と影』
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り込んでしまった。
ここまで来て、ここまで肚を括って、この結末……。
完全な手詰まり。
「やっぱり、ただの一般生徒の私じゃ……、みんなの役になんて……」
目頭が熱くなって、視界が滲んだ。
喉の奥から、言いようのない何かが這い上がって、口から出ようとする。
必死に抑え込もうとすると、喉が苦しくなって、胸が締め付けられる……。
一夏と凰が頑張っていて、修夜と拓海とセシリアに信じてもらって、千冬さんに大見得を切って、山田先生に心配までかけて……。その結果が、この有り様……。
もう嗚咽を抑える気力さえも、私からは失せていった。
結局、私は何も出来ずに、ここで泣くことしかできない……。
「どうして……」


どうして私は、専用機持ちじゃないんだろう――


『PipoPipo, PapoPapo ♪』

不意に、さっき聞いた電子音が耳に入ってくる。
音の聞こえた方を振り返ると、そこには案の定、あのウサギスライムがいた。
「……ふふっ、そんなに無様に見えるか?」
ウサギスライムに笑われた気がして、ヤケになって自嘲気味に笑い返して見せた。
「好きなだけ笑えばいいさ……。私みたいな役立たずなんて、修夜たちのそばにいても……」
もう、諦めることに抵抗は無かった。
いっそ、みんなに嫌われてしまえば、どれほど楽になれるだろう……。
『タタカエ! タタカエ!』
再びあの甲高い声で、ウサギスライムが口を開いた。
「無理だ……、戦いたくても、戦う方法がない……」
専用機どころか、打鉄にすら乗れない私には、なんの価値もない。
『アキラメタラ シアイ シュウリョウ!』
無茶な言いがかりだ。
「どうしろっていうんだ、こんなの……諦めるしかないじゃないか……!」
なんて無様なんだろう、みんなに合わせる顔がない……。
『ニゲタラ オワリ! ニゲタラ マケ!』
…………っ。
「じゃあ、どうしろっていうんだ?!
 こんな役立たずで駄目な私に、なんの意味があるって――!?」

『N3u£*heΩh#wЁ5&@∴2q$%t†5!=|】!!!』
「……っっ!?」

いきなりウサギスライムは、今までにない大きな雑音で反応を示した。
あまりの音量に、耳鳴りが残る。
『デキル! オマエハ ヤレバ デキルコ!』
突拍子も根拠なく、ピンクのボールは私に向かって励ましの言葉を投げかけた。
まるで、私を叱咤するように……。
少し呆気にとられていると、ウサギスライムはコンソールに近付き、端末の挿し込み口に向かってヒゲを伸ばした。
何かの触手のようにヒゲが入っていくと、今度は目をチカチカと点滅させる。
すると、凄まじい勢いでデータが解析されていき、コンソールの画面が文字列で埋め尽くされていく。
そして数秒もしないうちに――

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