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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十三話『救出への灯(ともしび)、その光と影』
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に揺れた。
「お前は、一体このアリーナの中で――!!」
言いかけたときだった。
『PipoPapo, PipoPepo ♪』
「わぁっ?!」
小刻みにはネタかと思うと、ぬいぐるみは私に向かって飛び付き、思いっきり顔を覆ってきた。
不覚にも座り込んだままだった私は、反応が遅れて避け損ね、直撃を受けてしまった。
感覚的には、アイス枕に顔を突っ伏したような、柔らかくひんやりとした感触。それが顔中を覆って、へばり付いてくる。
突然のことに混乱し、私はどうにか顔に覆いかぶさってきたぬいぐるみを剥ごうと、手を出して抵抗を試みる。だが、ただでさえ滑りやすい感触なうえに、まるでスライムのように自在に体を変形させている。掴もうにも掴めない、息も苦しい。
そんなことをしていると、不意に頭が軽くなり、視界も呼吸も楽になった。
だが同時に、背中に髪の毛が広がっている感覚があった。
『PipoPipo, PapoPapo ♪』
「あっ、私の髪留めが……!」
見れば、ぬいぐるみは私の髪留めを器用に耳に巻き付け、跳ねまわっていた。
「こらっ、返せ。その髪留めは、一夏と修夜が私の誕生日プレゼントに――!」
私が着けていた髪留め用のリボン。それは小さい頃に、修夜と一夏が自分の少ない小遣いをはたいてプレゼントしてくれた、大事な思い出の品だった。入学するまでは大事にとっておいたのだが、IS学園で二人に再会できた記念に、最近はよく使うようになっていた。
ただ、二人はまだそのリボンが、自分たちのプレゼントだとは気付いてくれていない。
要するに、ぬいぐるみが盗ったリボンは、私にとって二人との絆の証なのだ。
『PepoPipo, PapePipo ♪』
そんなことなどお構いなしに、ぬいぐるみ改め『ウサギスライム』は通路の奥へと、軽快に走り去っていく。
「ちょっとっ……、待て、そいつを返せっ?!」
大切なものを、取られたままにするわけにはいかない……!
私はとにかく、必死でウサギスライムの後を追いかけた。
――――
第二アリーナ・???――
Aピットルームと縦の線対称にあるDピットルーム。
俺とセシリアはその中でISスーツに着替え、自分のISを展開してスタンバイしていた。
……まぁ、結構気まずい感じになってしまったが、理由は察して欲しい……。
こんな怪しい暗闇で衣擦れの音がしてくると、セクハラ慣れした俺でも、一瞬やましい考えが浮かんでしまった。俺もまだまだだ……。
拓海の作戦では、ここから点対象のBピットルームからの箒の出撃で、挟み込むように援護に向かうことになっている。
奇襲とは、相手に想定外の損耗を与えるためであると同時に、相手にそれ以上の精神的なダメージを与えることも主眼にしている。つまり、混乱と動揺を煽ることで、相手の実力
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