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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十三話『救出への灯(ともしび)、その光と影』
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第二アリーナ・通路――
赤い非常灯の照らす薄暗い廊下。
さっきまでいたAピットルームそばにあるモニタールームを出て、私はBピットルームへと続く廊下を走っている。修夜とセシリアはDピットから、私はAピットの線対称の位置にあるBピットから出撃することになった。
Bピットまでの廊下の長さは百メートルちょっと、走れば一分かからず到着できる。
(そもそも専用機がない私では、
通信妨害
(
ジャミング
)
がなくても
個人間秘匿通信
(
プライベート・チャンネル
)
は使えない……)
私がBピット側なのは、訓練用の
打鉄
(
うちがね
)
の収容されているのがBピット側に集中しているためであり、出来るだけ早く打鉄の装着を終えるためにも、Bピット側から出撃するほうが効率はいい。
作戦開始は十分後。手首の腕時計で時間を確認する。
(二人の足を引っ張るわけにはいかない、とにかく早くピットに……!)
そのときだった――
――むにゅん
「えっ……きゃああっ?!」
――どたんっ
「いたたた……」
何かにつまづいて転んでしまった。
それも何やらスポンジのように柔らかく、アイス枕のようにひんやりとした“妙なもの”に。
『PipoPipo, PapoPapo ♪』
振りかえるとそこには、ピンク色のボールのような物体が、変な音を鳴らしながら転がっていた。
ウサギのような長い耳、目と鼻と細い六本のヒゲ。それが“おきあがりこぼし”のように左右にゆらゆら揺れながら、私を見つめていた。
「何だコイツは……。新手のぬいぐるみロボットか?」
それがどうしてこんな場所に……。
『ミツケタ! ミツケタ!』
「え……?!」
機械的な甲高く幼い声で、ぬいぐるみ(?)は私に向かって言葉を発した。
見つけた……なにを……?
いや、そもそも、なんでアリーナにこんな変なものが転がっている?
誰かが持ってきたにしても、持ち物の検閲が厳しいアリーナで、こんなに判りやすいおもちゃを簡単に持ち込めるわけがない。
拓海の話じゃ、Bピットを繋ぐこの廊下以外の通路のシャッターは、すべて閉まっているはず。
それをコイツは、まるで飛び出してきたかのように――
(……っ!?)
思って横を向いてみると、そこには確かに仕舞っているはずのシャッターが、まるで何事もないようかに、普段と変わらず開いていた。
(おかしい、拓海が作戦を説明したときに見せてくれた画面では、こっちの壁の通路は、全部閉まっていたはずだ……?!)
誰かが開けたのか。
拓海だったとして、こんな不要な場所を開ける真似を、アイツはしないはずだ。
なら、誰が開けたのか。
おのずと、答えは絞られた。
「……お前が、開けてきたのか?」
『PipoPapo?』
まるではぐらかすかのように、ぬいぐるみはまた右に左
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