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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十二話『震撼、第二アリーナ』
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こんなハイテクおもちゃなら、どこかのバラエティ番組で取り沙汰されてもおかしくは無いし、ネットでも話題をさらっていることであろう。
だがそんなウワサは見聞きしたことがないし、第一こんなところに、こんな物体があること自体がおかしい。
「きっと、ご主人を探してるんだね。よ〜し、なら私が連れて行ってあげよ〜う!」
「ちょっと……!?」
黒髪女子の疑念とは裏腹に、茶髪女子はすっかりウサギボールの虜となっていた。
そしてそのまま、茶髪女子は先ほどの息切れがウソのように、ウサギボールを抱えたままアリーナに向かって駆けだした。
「も〜〜〜ぅ……!!」
勝手気ままな友人に振りまわされ、黒髪女子はヤキモキしながらその後を追った。

――――

「まったく……」
アリーナに遅刻した二人は、結局立ち見どころか、試合すら拝めていなかった。
「だって、アリーナに着いた途端、どこかに逃げちゃったんだも〜ん!」
第二アリーナ到着後、ウサギボールを抱えた茶髪女子は、玄関にいる警備員に止められ、ウサギボールの引き渡しを求められた。
必死で警備員を説得していたそのとき、ウサギボールは茶髪女子の腕の中から飛び出し、それこそ軽快に弾むボールのように、勝手にアリーナの廊下を跳ねて走って行ったのだった。結果、二人は『不審物搬入』と判断されてしまい、警備室で説教がてら、ウサギボールの行方が分かるまで監視されることとなった。
「試合、見たかったなぁ……」
ため息交じりぼやく黒髪女子。
「ごめ〜ん……」
「反省するなら、今度ランチでケーキおごって」
一応の罪悪感はあった茶髪女子の謝罪に、黒髪女子は態度で示すことを促した。

――――

第二アリーナ・どこかの廊下――

人気のない廊下で、ウサギボールは一匹で佇んでいた。
目の前には、警備システムに繋がっている、ドアの開閉用の電子端末。
ウサギボールは、その三対のヒゲをまるで触手のように伸ばし、電子端末の隙間に忍び込ませた。

「モクテキチ センニュウ セイコウ コレヨリ 【オツカイ】 ヲ スイコウ スル」

その信号は、ここにはいない“誰”に向かって放たれたのだろう。

――――

IS学園・上空二万メートル――

一つの怪しい飛行物体が、雲の合間に隠れて浮かんでいた。
極寒の大気にも動じず、レーダーにも、監視衛星にも引っかからず、まるでカメレオンのように雲と空に溶け、そこに佇んでいる。
偏光式光化学電子迷彩「隠し身の魔套(タルンカッペ)」――。飛行物体の制作者による最新鋭の装備であり、高いステルス性と光化学迷彩による不可視化、そればかりか赤外線レーダーや超音波レーダーに熱レーダー等など、あらゆる索敵装置に引っ掛からない、まさに究極の一品。

≪モクテキチ センニュウ セイ
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