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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十一話『クラス対抗戦、開始!』
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だったけど、見事に決まったね」
「ものの見事に“ヒーローものキック”だったな……」
そんな中で俺と拓海だけが、一夏の蹴りについて感想を述べ合っていた。
「蹴り……ましたわ…ね……」
「蹴った……なぁ……」
セシリアと箒も、モニターを見つめながら呆然とするばかりだ。
「あ……あんな戦い方って、“アリ”なんですか……?」
山田先生は目を丸くしながら、千冬さんに質問した。
「……ないワケじゃない。……が、蹴りを戦術的に取り入れることは、ISの常識を考えれば普通はしないことだ」
千冬さんの方はあくまで冷静に見える。でも、言い方が少したどたどしくも感じる。
「ISの脚部は、本来は空中での姿勢制御のための、バランサーとしての意味が大きい。
 ほかにも、PIC(パッシヴ・イナーシャル・キャンセラー)を利用したブレーキングや、上空へ向けての急発進する場合の加速、等々……。
 そうしたISの機動力の要として、脚部はあの無骨な見た目に反して繊細な機関でもある。
 蹴りはあくまで、“非常時の一手”だ。無暗に使うと、ISの機能そのものを損なう」
言葉を重ねるごとに、千冬さんの目付きが鋭くなっていく。
「その点はご心配なく、ちゃんと脚部のフォローは徹底済みです」
千冬さんの懸念に対し、拓海があっさりと覆す発言をした。
「関節部には最新式の耐ショック機構と、蒼羽技研謹製の特殊合金製フレームとマニピュレーター。脚本体にも、精密機構を保護するための最新技術を導入。空から戦車が降って来ても、壊れる心配は無いですよ」
そう言いながら、拓海は一夏のキックの映像を繰り返し再生して、データの採集に勤しんでいる。
「拓海、まさか“あのときの”一夏の弱音を、ホントに反映させたのか……!?」
箒が何か思い出したのか、拓海に問いただした。
「なんだお前たち、何か知っているのか?」
千冬さんがこちらに向き直り、俺たちに向かって状況の説明を要求してくる。
本当なら“尋ねてきた”と言いたいが、千冬さんの目つきの鋭さから、相当イラついているのが見て取れた。
拓海を除き、俺も箒もセシリアも、腫れものをこれ以上刺激したくないと、思わず押し黙る。
「あのキック機構――『耐蹴撃強化補正(キック・プロテクト)』を仕込んだのは、他ならぬ僕ですよ。一夏のリクエストに応えたんです」
拓海があっさりと、自分の犯行を認めた。
「ついでに、あの左手『エネルギー圧縮放射腕部「六花」』も、です。……というか、本来はそっちの方が本命だったんですけどね」
作業を進めつつ、悪びれる様子もなく答える拓海。
事の発端は、四日ほど前の修練でのことだった。

――――

「あぁ〜〜っ、もう、手ばっかり動かしてるのって、感覚的に気持ち悪いっていうか……!
 もういっそ、蹴った方が楽じゃ
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