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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十一話『クラス対抗戦、開始!』
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さん、なんで一夏にそんなに“こだわる”んですか。
 いくら弟想いだからって、まるで一夏を縛っているみたいじゃないですか。
 これじゃまるでアンタが、【一夏を縛って安心していたい】みたいじゃないですか……。
 どうなんです千冬さん……!?」
拓海の睨む眼力が、さらに強さを増していく。
「……くだらん」
小さく吐いて捨てると、千冬さんは背中を向けてしまった。
「ともかく、この試合が終わったら、アレを取り外せ。一夏には不要だ」
ここに来て、このブラコンは拓海の熱弁をリセットしやがった……。
「承服しかねます。そもそも、一夏は僕とも充分話し合っていて、本人も納得ずくなんです。
 あなたのわがままに付き合う道理は無い……!」
拓海もまったく動じない。コイツの頑固さは、師匠でも呆れるほどだからな。
「なら賭けようじゃないか」
「……賭け、ですか」
今度は、千冬さんの方から拓海に仕掛けた。
「あぁ、この試合で一夏が勝った場合、一夏が凰に対して使った武器が“剣か武か”を。
 万一に負けた場合は、最も有効だった一撃が何かを……。
 私は当然、剣に賭ける。私が勝ったら、有無を言わさず、アレを外させる」
おいおいおい、千冬さん。それは滅茶苦茶、アンタに有利な賭けじゃねぇかよ?!
「……いいでしょう、なら僕は武に賭けます。
 僕が勝った場合には、そのときには諦めてもらいますからね」
そして拓海も全然退かねぇし!?
「大丈夫でしょうか、拓海さん……?」
セシリアが心配そうに、俺に囁きかけてきた。
「こればっかりは、マジで“運”だ……」
俺ももう、うなだれて首を振るばかりだった。
一夏の預かり知らないところで、一夏に余計な負担が増えてしまった。

頼むから、俺の精神に休息をくれ……。

――――

――IS学園海上、沿岸部

生徒たちの華やかな喧騒をよそに、今日も防衛省による巡視船が海上を監視していた。
巡視船上の監視員の双眼鏡にも、レーダーにも、何も不審なものは映らない。

今日も平穏に、IS学園への監視は続いている。

だが彼らは知らない。
学園に迫る、謎の影があることを。

それは大型の海魚ほどの大きさで、IS学園の処理下水排出口から、こっそりと忍び寄っていた。

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