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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十一話『クラス対抗戦、開始!』
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最初に一夏が、六花の装着を渋った原因がそこにあった。
今回の修練の少し前に、一夏も千冬さんにこっそり会いに行って、射撃武器の訓練ができないか相談したことがあったらしい。だが千冬さんの返答は、拓海が千冬さんに尋ねた“何を教えるか”と、ほとんど同じ内容だった。
「それが何だというんだ、話の矛先を逸らす気か?」
「まさか。僕が言いたいのは、一夏とあなたじゃ、まったく“別の人間”だってことです。
あなたは一日も欠かさず、武の道をまい進し続けてきた。でも、一夏はそうじゃない。
箒が引っ越して以来、一夏は剣道と向き合う時間が減りました。それでも、篠乃之道場と親しかった別の道場に、稽古料を格安にしてもらいながら、週一ぐらいで道場には通っていました。
でもそれも、家計を顧みて中学の時にやめたんです、アンタを支えたい一心で……!」
この一言に、千冬さんの顔がはっきりと歪んだ。
間髪いれずに、拓海は続ける。
「だからこそ、一夏は今それを取り戻す事に躍起になっている。
でも、一夏がつくってしまった“二年の停滞”と“三年の空白”は、そう簡単に補えるほど甘くない。それは千冬さんが一番よく分かるはずです。
武術に関して僕は素人ですが、修夜と話し合った結果、一夏があなたの領域に達するには、現状でもあと五年は確実に必要です。空いたブランクが、そっくりそのまま一夏に還ってきているんですよ……!」
伸び盛り、育ち盛りといわれる俺たちの年代であっても、鬼神の如き千冬さんの領域に到達するには、一夏が血反吐を吐く思いをしても、およそ五年。それは一夏の潜在能力の開花時期もそうだが、何より一夏の“姉離れ”を計算に入れてのことだ。
今の一夏に必要なのは、自分の姉に認められることじゃない。
その姉とは違う、自分だけの“在り方”を見出すこと。
一夏は今、そのための一歩を歩み出している。
「なら、今まで以上の努力で、今を超えればいい……。アイツは一つのことに集中する方が向いている、それを一番分かってやれるのは――!」
「えぇ、分かっています。それを一番理解しているのは千冬さん、アンタだ。
でも一夏は“織斑千冬”じゃない、一夏は“一夏”だ。
一夏がどんな強さを手に入れるのか、それを選ぶのだって一夏の自由だ。
僕と修夜は、その“可能性に掛けてみた”んです!!」
拓海は毅然と、睨み殺すような視線の千冬さんを睨み返した。
コイツのこういうときの胆力は、俺でも敵わない。
そうこうしているうちに、試合にまた動きがあった。しびれを切らした鈴が、一夏に対して二刀流での猛攻を仕掛けたのだ。さすがの一夏もこれにはタジタジになり、雪片と六花のナックルガードで必死に防御に転じている。そして隙を見て、一夏は空中へと逃げ込み、鈴もそれを追って空中の一夏に迫っていく。
「千冬
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